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若きスター誕生とミドルエイジの歴史的新記録【舩越園子コラム】

2016年8月 8日 10:31

スコアカードを持って笑顔を見せるフューリック(撮影:GettyImages)

スコアカードを持って笑顔を見せるフューリック(撮影:GettyImages)

リオ五輪の開会式と日程が重なったトラベラーズ選手権は、開幕前は注目度の低下が懸念されたが、蓋を開けてみれば、最初から最後まで注目を集める展開になった。
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 開幕前のプロアマ終了後は前年覇者のバッバ・ワトソンが、大会が押し進めているALS患者のためのチャリティ基金に10万ドルを寄付。「トラベラーズは僕が初優勝を挙げ、亡き父が僕の雄姿を見た最初で最後の大会だから」と、寄付に込めた想いを語った。
 大会2日目の夜にはチャリティディナーが開かれ、ワトソンはリオ五輪のユニフォーム姿で登場して人々を驚かせた。ワトソンは前年覇者の務めを優先して今大会に出場。そのため本当はとても出たいと思っていた五輪の開会式出席を諦めた。
 しかし、着られなかった五輪のユニフォームに身を包んでトラベラーズのディナーに出席し、そこでお披露目してしまうところが何ともワトソンらしい。ワトソン同様、大会終了後にリオ五輪へ向かう予定のマット・クーチャーやパトリック・リードも、ユニフォーム姿のワトソンには驚くばかりだった。
 そして米国代表選手としてリオ五輪に出場する3人は、リードが11位、クーチャーが17位、ワトソンが25位と徐々に調子を上げながら4日間を終えた。五輪で戦う大役が控えていると、集中力や意欲は自然と上がるものなのかもしれない。
 そんな中、五輪は控えていないものの、長年、集中力と意欲を維持してきたジム・フューリックが最終日に米ツアー史上最少スコア記録を更新する「58」をマークして世界のゴルフ界を驚かせた。
 1イーグル、10バーディー、ノーボギー。フェアウエイキープは13/14。パーオン率は100%という素晴らしい数字を並べたが、15番でカップに蹴られたバーディパットと最終18番でぎりぎり入らなかったバーディパットがもしも入っていたら「56」も夢ではなかったという内容だった。
 もちろん、そんな「タラレバ」はこれまで「58」に王手をかけながら「59」で終わってしまった過去6名の誰もが抱いた後悔で、フューリック自身も2013年のBMW選手権では「あれさえ入っていれば」と悔しさを噛み締めた。
 いわば一番最近、「58」に一番近づいたフューリックが、今日のこの日に「58」を出したということになる。「歴史の一部になれたことがうれしい」。46歳にして達成した歴史的快挙だった。
 そして、最終日の優勝争いを勝ち抜いたのはスコットランド出身の31歳、ラッセル・ノックスだった。首位から3打差の2位からスタートしたノックスは、単独首位に浮上したものの、終盤は苦しい展開が続いた。
 72ホール目はティショットを大きく右に曲げて深いラフに沈み、第2打はグリーン右手前のバンカーへ。第3打はピンに寄せ切れず3メートル半が残ったが、そのパーパットを見事に沈め、勝利を噛み締めた。
 ノックスは2007年にプロ転向。米ツアーには2012年から参戦したが、なかなか成績が安定せず、初優勝からはほど遠かった。だが、今季はHSBCチャンピオンズで悲願の初優勝を挙げて以来、掴んだ自信が彼の調子を上げ、この通算2勝目は今季2勝目になった。
 すでに今季3勝のジェイソン・デイらに続き、ノックスは今季5人目のシーズン複数優勝の仲間入り。フェデックスカップランキングはジョーダン・スピースを抜いて4位に上昇し、あれよあれよという間にまた一人、若きスターの誕生となった。
 その一方で、「58」をマークしたフューリックは46歳。ノックスが72ホール目のパーパットを外していたらサドンデス・プレーオフを戦うことになった相手は49歳のジェリー・ケリーだった。
 幅広い年齢層が活躍し、話題も多く、見どころ満載だったトラベラーズ選手権は、いろんな意味で実に面白かった。
文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
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