伝説のゴルフレッスンvol.4 ハンマー打法

曲がらないスウィングを完成させた伝説のゴルファー

曲がらないスウィングを完成させた伝説のゴルファー
極端にシャイな性格で、他人と視線を合わせて話すことができなかったノーマン。1日に20杯のコカコーラを飲み、そのせいでお腹はぶよぶよ、歯は虫歯だらけ。女性にもファッションにも縁がなく、唯一興味があったのがゴルフだったのだ。

モー・ノーマンを知っていますか?

遠くに飛ばすことは、ゴルファーにとって永遠の憧れだ。
しかし飛ばしの才能などというものは、自分自身が一番よく知っているものだし、飛ぶだけでは意味がないということも、過去のラウンド経験から痛いほど学んでいるに違いない。
だから現実には、飛距離よりもむしろ、正確性が欲しいと願っているのが一般的なアマチュアゴルファーではないだろうか。
もしもボールがまっすぐしか飛ばなければ、スコアメークはどれほどたやすいことか……曲がらないスウィングはいつの時代もゴルファーの理想、いや、夢と言ってもいいだろう。そしてその夢を現実にしたのが、伝説のプロ、モー・ノーマンである。

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1969年に行われたあるエキシビジョンマッチでのこと。サム・スニードと回ったモー・ノーマンは、240ヤード先に池が横切っているパー4で、安全に池の手前に刻んだスニードを尻目に、池の真ん中にかかっている細い橋を狙ってドライバーを放った。するとボールはノーマンの計画通り、橋を渡って川の向こうのフェアウェイをとらえたのだ。

フェースの向きを変えずにクラブを上げ下げするのがハンマー打法
重たいハンマーを上げ下げするように、クラブを鷲づかみにして、まっすぐ引いてまっすぐ下ろす。それがハンマー打法だ。

バックスウィングはお腹で始動し、クラブフェースがボールを向けたままクラブを引くイメージ。

トップでは軽くヒザを曲げて沈み込み、パワーをためる。

目標方向に体をスライドさせながら、ボールを力いっぱい叩く。

また別のエキシビジョンでノーマンは7時間にわたって1540球のドライバーを放ち、そのすべてが30ヤードの幅に収まっていたという。
リー・トレビノは「彼こそ最高のボールストライカー、生きる伝説だ」と絶賛し、ケン・ベンチュリは、パイプラインのように正確にボールを運ぶノーマンに「パイプライン・モー」というニックネームを贈った。そして世界中のトッププロたちがこぞって、そのスウィングをひと目見たいとモー・ノーマンのもとへわざわざ駆けつけたのだ。また、ノーマンがドライビングレンジでボールを打つ、ただそれだけのイベントに毎回大勢のギャラリーが集まった。

PGAで1勝もしていないカナダ人プロが人々をそこまで惹きつけたのには理由がある。
映画「レインマン」でダスティ・ホフマンが演じた主人公に通じる特異なキャラクターのせいもあっただろうが、それ以上に、常識を完全に覆す革新的なスウィングが、人々の心をとらえたのだ。
極端に両足を開いたスタンス。両手でグリップを鷲づかみにし、両腕とシャフトが一直線になるほどハンドアップしたアドレスからしてかなり変則的。しかもボールから30センチ以上も離れた場所にヘッドを置き、そこからスウィングをスタートさせる。体をほとんど回転させないコンパクトなトップから、大きく目標方向に体をスライドさせながらボールを叩き、小さくフィニッシュをとってスウィングは完了。
まるで重たいハンマーで壁を叩くような動きだったことから、人はノーマンのスウィングを「ハンマー打法」と呼んだのだった。

なぜハンマー打法は曲がらないのか?
その最大の理由はフェースローテーションが少ないせいだ。ノーマンのようにてのひらでグリップを鷲づかみにすると、指先で握るよりはるかにフェース面は安定する。手首も動かしにくいから、スウィング中のフェース面の動きは必要最小限となる。
そしてハンマーを持てば誰もがそうするように、叩く面をなるべく目標物に向け続け、ハンマーがブレないようにまっすぐ引いてまっすぐ戻す、このシンプルなイメージによる動きをゴルフクラブで行うことによって、ボールはまっすぐ飛び出すのだ。
ノーマンによれば、ハンマー打法のポイントは4つで、「バックル(buckle)」「シット(sit)」「スライド(slide)」「バンプ(bump!)

」だという。
つまりベルトのバックルを少し右に回すイメージでバックスウィングを開始したら(バックル)、トップスウィングで軽くひざを曲げ、座るようにパワーをためる(シット)。ダウンスウィングでは体を左にスライドさせながら体重を右足から左足に移し(スライド)、思い切りボールを叩くのだ(バンプ)。
ゴルフ以外に興味のなかったノーマンが、来る日も来る日も飽きることなくボールを打ち続けた結果、完成させた究極の打法。あなたはトライしてみますか?