大会への想い

「一歩前に進む挑戦」

 スポーツは、私たちに喜びや感動を与え、共感と連帯をもたらし、そして希望を与えてくれます。しかし、近年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、多くのスポーツ興行が残念ながら無期限の中止に追い込まれています。その結果、プロかアマチュアかを問わず、多くのアスリートの練習に大きな制約がかかり、試合という挑戦の機会が奪われる事態となっています。

 このような残念な事態は、ゴルフにおいても全く同様です。プロゴルファーは、試合中止という形で挑戦の場を失い、収入の場も失う事態に追い込まれています。アマチュアゴルファーもまた、プロゴルファーの挑戦を観る機会を失い、不要不急であるという理由から、自身が気軽にプレーを楽しむ機会を失いつつあります。新型コロナウイルス感染症によって我々は分断され、ゴルフをプレーする喜びや観る感動を享受する機会がなくなりつつあるのです。ゴルフというスポーツもまた、未曾有の感染症拡大によって危機に直面しています。

 今回、日本で初めての試みとなる、プロアマトーナメント開催を企画したことは、私たちが「一人ひとりのゴルファーこそが主役であるためには、何を為すべきか」を常に問い続けてきたことと決して無関係ではありません。垣根を超えた挑戦の場をゴルファーに提供することこそ、日本におけるゴルフ業界の発展に寄与するはずであるという我々の強い思いゆえに本トーナメントが企画されました。しかし、予期せぬ新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、開催形態のみならず、開催自体についても再考を迫られる事態となりました。

 現在、ワクチン開発には最低でも1年は必要であり、我々はこれから長期間にわたってウイルスと共存することを迫られています。ウイルスとの共存とは、言い換えれば、安全・安心の確保とスポーツ活動の維持という、難しい舵取りを行うということに他なりません。それは、「やめる勇気」と「はじめる勇気」との間の葛藤でもあります。短期的には、自粛や無期限中止で対処可能かもしれません。しかし、自粛や中止が長引くほどゴルフスポーツの衰退につながることは間違いありません。どこかで、誰かが、事前にはすべてが分からない中で、前に進む勇気を持って、その難しい舵取りの第一歩を踏み出す必要があるはずです。

 もっとも、明るい話題が全くないわけではありません。暫定的な研究成果ではあるものの、密閉空間、密集場所、密接場面となる機会を可能な限り削減し、ゼロに近づけることによって、感染可能性を大幅に削減することが可能であることが明らかにされています。幸いにもゴルフは屋外スポーツであり、プレー前・プレー中・プレー後の動線を事前に計画し、安全を担保できるよう計画通りに実行することは決して不可能ではありません。

 そこで、私たちは、新しいコンセプトの下で開催される初めてのトーナメントを無観客試合とし、トーナメントに関わる全ての人の安全と安心を確実に担保する動線設計と実行手順を固めた上で、プレー参加者を大幅に縮小する形で実施することを決定いたしました。また、本トーナメントは、緊急事態解除後初めての開催となる男子トーナメントであるため、多方面の専門家の方々からのご支援と知見を活用し、考えられる全ての予防策を現場で確実に実行することで、プレーヤーとプレーヤーを支えるあらゆる関係者、そして地元の方々の安全と安心を最大限担保した上で実施する予定です。

 アスリートによる限界への挑戦は美しく、その姿は見る人に勇気と希望を与えてくれます。だからこそスポーツには、人の心を揺さぶり、争いや対立、そして立場や利害を超えた対話と協力をもたらしてくれる力があるのです。また、スポーツには、社会の垣根を超えて、人と人とを結びつける力があるはずです。今回開催されるトーナメントが、そのようなスポーツの力が大きく発揮される第一歩となるべく、我々は最大限の努力を傾注する所存です。感染症が完全に収束したわけではないという意味で厳しい環境下にあることは紛れもない事実ではあります。しかし、今回の開催を通じて、観る人に喜びや感動を提供し、皆様がゴルフプレーを通じて新たにつながる機会を実現したいと考えています。

 コロナと共存する初めてのトーナメント開催は、ゴルフに関わる様々な方々にとっての新たな挑戦ともなるはずです。コロナとの共存を前提に、ゴルフスポーツの発展につながる、我々の「一歩前に進む挑戦」に、多くの皆様の応援を頂戴できれば幸いに存じます。

 我々は、これまでもそうであったように、これまで以上にすべてのゴルファーの安全と安心を前提に、ゴルフ業界の新たな発展に挑戦し、努力して参ります。

JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント
大会事務局

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