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2015.04.13
ゴルフの祭典マスターズトーナメントが閉幕しました。
21歳の若者、ジョーダン・スピースが初日から首位を譲らない完全優勝。
これは76年のレイモンド・フロイド以来、史上5人目の快挙でした。
タイガー・ウッズもフィル・ミケルソンもなし得ていない偉大な記録です。
そして4日間での270ストロークは97年のウッズに並ぶ最少ストローク、21歳での優勝もセベ・バレステロスを抜き史上2番目の若さです。
昨年は最終組でのラウンドでしたが、ババ・ワトソンに圧倒され2位タイに終わってしまいました。
今年は成長を遂げて見事にリベンジを遂げたというところでしょう。
昨年の大会閉幕後にジョーダン・スピースに関する記事を書いたことを思い出しました。
http://www.golfpartner.co.jp/9007/2014/04/15223193.html
http://www.golfpartner.co.jp/9007/2014/04/16223319.html
スピースの弱点として、ワトソンとの経験の違いからくる精神的な弱さ、ショートパットを苦手としていることを挙げました。
記録ずくめの優勝をしたということは、きっとその弱点をこの一年で克服したのでしょう。
スピースの去年と今年のスタッツを比較して検証してみましょう。
ますスピースが去年から変えたものとして、ドライバーが挙げられます。
910D2を長く使用していましたが、去年の終盤からニューモデルの915D2に変更しています。
ということでドライバーの飛距離が289.7ヤード(89位)⇒292.5ヤード(63位)と伸びています。
またフェアウェイキープ率に関しても、58.79%(129位)⇒61.67%(88位)とこちらも向上しています。
と言っても決してドライバーが得意クラブになったわけではないようです。
ではショートパットを克服し、得意のパターにさらに磨きがかかったのでしょうか。
距離別のパッティング成功率を見てみましょう。
2014年 | 2015年 | |||
10フィート以内 | 87.17% | (92位) | 87.32% | (107位) |
10~15フィート | 34.12% | (28位) | 31.94% | (69位) |
15~20フィート | 23.49% | (15位) | 30.77% | (5位) |
20~25フィート | 15.00% | (32位) | 29.41% | (2位) |
25フィート以上 | 5.08% | (109位) | 7.53% | (30位) |
ショートパットが苦手なのは相変わらずですが、ロングパットの精度がより上がっています。
そのおかげでしょうか、3パット率が2.66%(64位)⇒1.75%(11位)と大きく改善されています。
そして平均パット数も1.717(2位)⇒1.673(1位)と向上しています。
つまりパッティングの成功率が極端にいいわけではありませんが、確実に寄せて2パットで収めています。
ちなみにパターは中学時代からスコッティ・キャメロンの軟鉄モデルである009を使い続けています。
スーパーストロークグリップもすっかりお馴染みになりましたね。
中嶋常幸は解説の中で、しきりにショートゲームの巧みさを褒めていました。
パーオンを外した時のパーセーブ率を見てみましょう。
62.39%(13位)⇒64.04%(23位)とツアー上位ではありますが、特筆すべき程でもありません。
ちなみにウェッジはボーケイSM5を46度、52度、56度、60度と4本バッグに入れています。
アイアンショットの精度はどうでしょうか。
ティーショットで優位に立てないところを、アイアンでカバーしているのでしょうか。
この2年間でパーオン率は62.47%(152位)⇒66.67%(81位)と、改善はされていますが決して高い数字でもありません。
アイアンは714AP2を使用しています。
こうしたスタッツから言えることは、スピースは決して無理をしないということではないでしょうか。
ドライバーは無理して飛ばさない。
アイアンは無理して狙わない。
アプローチも乗れば良しとする。
パターも無理せず3パットだけはしないようにする。
常に平均点のストロークを続けることで、69.264というツアー1位の平均ストロークを誇っています。
確かにこの4日間でも、ミスらしいミスと言えば3日目の17番で打ったダブルボギーくらいでしょう。
あのアプローチショットのミス、カラーからの3パットはスピースらしくない姿でした。
しかし残り71ホールでスピースはスピースであることを貫き通しました。
最終日の16番でまだジャスティン・ローズの大どんでん返しの可能性が残されていました。
ローズはティーショットをピン右手前のチャンスにつけ、スピースは左奥に外してしまいました。
2005年にタイガー・ウッズがチップインバーディを見せた位置に近かったですが、スピースは無理せず乗せるだけで、まだ下りのパーパットを残しました。
ここで解説の中嶋は、無理して入れにいったら大きくオーバーして3パットのダブルボギーもあり得る、ローズがバーディパットを決めたら残り2ホールで2打差まで迫られる、と心配しました。
しかしスピースのパーパットは距離を合わせるだけで、最後の一転がりで逆にカップインしてしまいました。
ローズのバーディパットも入らず、優勝はほぼ確定しました。
去年はワトソンの飛距離に対抗しようと、無理をして自滅してしまいました。
今年はそれを精神的に克服し、スピースであり続けることができました。
自分はツアーで特別な技術があるわけではない、常に平均点を狙い続けることでつかんだ栄冠でした。
スピースのようなゴルフにスコアアップの秘訣が隠されています。