ゴルフクラブには飛ばしの要素が3つある。「初速」「スピン量」「打ち出し角」だ。中でも「初速」を高めるのに各メーカーは凌ぎを削っているという。「初速」を出すならフェースの反発性能を高くするのが最も早い。今回のテーラーメイドの「M5」「M6」には驚くべき開発の発想があった。それはゴルフクラブを一度「高反発モデル」として作り、反発性能(R&Aの計測数値としては「CT値」を使用)を下げることで「ルール適合クラブ」を作り上げるということ。
通常のクラブの反発性能をルールギリギリで作ったモデルは数多くある。プロギアのRSもその一つでまさにキャッチコピーは「ギリギリ」だ。反発性能は製品規制で「CT値257」を超えると高反発クラブとみなされる。反発性能を「CT値257」未満に抑えつつ、クラブを大量生産するとなれば当然安全ゾーンに収めて製造することが大事になってくる。どんな商品にも製造過程上の公差は発生していて、「CT値257」に最も近いゾーンのクラブはプロゴルファーに支給されている。残りの製品を市販クラブとして流通させるというのがプロゴルファーにクラブを供給するクラブメーカーの常なのだ。
今回のテーラーメイドの「M5」「M6」の最大の特徴は、一度高反発として作られるということ。そして、「M3」「M4」シリーズの特徴だったツイストフェースには、これまでになかった2つの赤いビスがついていること。このビスが反発性能をルール内に収める最大の秘密。テーラーメイドは出来上がった全ての「M5」「M6」の反発性能を検査し、超過した分の反発性能を落とすためにこの穴からジェルを注入しているという。ジェルはフェース内に設置されたポケットに収まるようになっていて、固まってしまう。
ルールに関係なく飛ぶクラブと言えば思いつくのはやはり高反発モデルだ。ゴルフクラブのテクノロジーの進化から2008年にルール上は禁止となった高反発クラブ。とはいえエンジョイゴルファーが飛ばす歓びを味わえると毎年数モデルは各社から発売されているが、その数は数える程度だ。
今回、あえて「高反発モデル」に着目した「M5」「M6」、その飛びやいかに。
60代 平均スコア90 ヘッドスピード39m/s
ゴルフパートナーの商品部で働く元気な60代。かつては年間ラウンド回数70回を超えていたほどゴルフ大好き。現在のマイドライバーはPING Gドライバー。
40代 平均スコア95 ヘッドスピード45m/s
ゴルフパートナークラブバイヤー。中古クラブだけでなく新品クラブもゴルフパートナーにはあるということを日夜アピール。ゴルフとお酒と山下達郎が好き。現在のマイドライバーはキャロウェイ「グレートビッグバーサ」
40代 平均スコア77 ヘッドスピード41m/s
ゴルフパートナー価格情報部所属。ゴルフパートナーきっての競技ゴルファー。中古クラブの値付け、買取金額などを決める人。ヘッドスピードを変えてクラブを打ち比べることができ、弾道もコントロールできる。現在のマイクラブはピンのG400。
・スタッフ3名が各モデルを5ショット打ち、ミスショット (異常値)を除く3ショットを集計
・クラブはランダムに試打
・測定はレーダー内蔵ゴルフ測定器「TRACKMAN」を使用
前作からビジュアルが大きく変化。マットなクラウンとフェース寄りのグレーのマスキングでスクエアに構えやすく改良されています。M4は極端に右に開いて見えるため、インパクトでフェースを閉じる動きを誘発しましたがM5/M6にはそれがありません。高反発ヘッドを作ってルール適合内に落とすという逆転の発想で、これまでプロしか使えなかった"プレミアム"なドライバーを手にすることができるワクワク感は、他のモデルでは得られません。