<全米オープン 事前情報◇12日◇ペブルビーチGL(カリフォルニア州)>
世界最強決定戦がまもなく開幕する。会場はペブルビーチ・ゴルフリンクス。米国のみならず、世界中のゴルファーが憧れる地といっても過言ではない、一大リゾートのメインコースは、どんな顔を見せるのか。
18番ティで松山英樹をキャッチ コースの絶景と美スイング【写真集】
リンクスの名の通り、カリフォルニア州の太平洋岸に広がるコースは、その絶景が大きな特徴。1919年、100年前に開場したコースは、自然の地形を生かしながら雄大な表情を持つ半面、プレーヤーにとっては他では味わえない体験を提供する。
特徴的なのはグリーンで、ここまでグリーンが小さいコースはない、といわれるほど。「乗ればOK」とは多くの選手の意見だ。ところが、必然的にバーディチャンスになるかというとそうではない。西海岸特有のポアナ芝が選手を苦しめ、一定の転がりを得るのは難しい。
ここまで言及しているのは難しさばかりだが、景観も圧倒的なのがペブルビーチだ。1番からスタートして、9番、10番はクラブハウスからもっとも遠くに位置するため、文字通り、(GOING)アウト、(COMING)インのレイアウトとなっている。1番から3番のティショットまでは内陸を通るが、セカンド地点から一気に視界が開け、海際を進む。
6番に到達すると、その異形ぶりに目を見張る。セカンド地点からグリーンを見上げると、左の岩壁の前に目に飛びこむのが、巨大な壁。セカンド地点とサード地点の間は丘になっており、ショットのバランスを狂わせる。
続く7番は109ヤードのパー3。最も海に近いホールで、風によってはウェッジから長いアイアンまでを使うことになる。そして8番のセカンド地点とグリーンのあいだは、断崖絶壁が食い込み、足もすくむほどの絶景を体験できるが、グリーンが小さく、難易度の高いホールとなっている。
9番、10番は右サイドが海岸になっており、フェアウェイも左から右に傾斜。スライス回転のボールは崖から落ちてしまう可能性が高く、距離も長くグリーン回りにもトラップが仕掛けられ、難関ホールとして有名だ。
11番からは再び内陸を進み、17番パー3のティショットから再び海を望むことになる。さらに18番はティからグリーンまで左サイドに海が広がり、景観美とともに大きなプレッシャーを選手に与える。
美しさとともにシビアに広がるコース。ここを主催の全米ゴルフ協会(USGA)がどのように仕上げているのか。フェアウェイは広いものの、ラフは粘っこく、特にグリーン回りの粘り気が目立つ。確実にペナルティを払うことになるため、ラフに打ち込みたくはない。
この時季の当地は雨が降ることがほとんどなく、グリーンも硬く締まっていくと予想される。フィル・ミケルソン(米国)は、「雨が降らないと、USGAのコースセッティングいつも失敗している」と批判。「グリーンで止まらない」という非難が寄せられる。せっかくのコースが選手のスーパープレーを引き出すセッティングになるよう願うばかりだ。(文・高桑均)
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