<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 事前情報◇11日◇チェリーヒルズゴルフクラブ(6425ヤード・パー72)>
これまで行われた回数は51度。女子トーナメントのなかで最も長い歴史を誇る今大会で、樋口久子、岡本綾子、大迫たつ子の3人しか達成していない大会3勝に鈴木愛が挑む。
やっぱりスマイル きょうも満開しぶこさん【大会フォト】
「ニトリレディス」で優勝、そして一週間のオープンウィークで祖母の家に帰るなどリフレッシュ。最高のかたちで会場に入ってきた鈴木の表情は明るい。その気配を感じ取った記者から『準備が整いましたか?』という質問が飛ぶと、大きくうなずき「自信はニトリのときよりもあります」と不敵な笑みを浮かべた。
ここまでいえるのも、最大の武器であるパッティングの仕上がりが戻ってきたからだろう。「ニトリでは不調をごまかしながらやっていましたが、今は良くなりました」。先週は空き週としつつも、一日の完全オフを除けばトレーニングを含めた練習に費やした。そこで見つけたのが最近の悪癖だった。「私のいいときは切り返しでワンテンポの間(ま)があったのですが、それがなくなっていたんです。間がないぶん、出球が右に行く感覚があって、スライスラインで思ったよりも切れていました」。
プロコーチの辻村明志氏は、この間が鈴木のパッティングの肝の1つだという。「間ができれば、次の動作に入ったときに体のズレも少なくなって、ヘッドがちゃんと仕事をしてくれる。間ができる前に打ちに行けば、手元が出たり頭が上がったりしてヘッドが仕事をしない。ボールにすべるように当たってしまいますから」。最重要ポイントが抜けていたことで、本来の状態から遠ざかっていた。
この悪いクセが分かったのも、自分のこれまでの映像を見直したからに他ならない。特に2014年の「日本女子オープン」最終日の動画は祖母の家に帰るたびに見直す“最高のお手本”の1つ。また、これまで自分が取り組んできたことを振り返るなど、冷静な頭で1つ1つ答えを導き出していった。結果、「もう大丈夫!」といえるところまで復調。「感覚が戻るまでは手にしない」といっていたエースパターを、今大会から再投入することが何よりの証だ。
14年に初めて優勝、16年に自信を取り戻し、18年にはケガによる長期離脱から復帰するなど、どのトーナメントよりも思い出が詰まっている大会。「何回勝っても、この試合はもう一度勝ちたい」。“勝ち方を知っている”パター巧者の目が、一段と鋭くなった。(文・秋田義和)
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