<大王製紙エリエールレディスオープン 3日目◇23日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6580ヤード・パー72>
逆転優勝が見える位置で最終日に臨む。トップと4打差の9位タイからスタートした渋野日向子は、ムービングーデーに6バーディ・ノーボギーのラウンド。トータル13アンダーまでスコアを伸ばし、首位の森田遥とは2打差の7位タイと好位置でラスト18ホールに向かう。
ホールアウト後に一ノ瀬優希とハグする渋野日向子【写真】
2番で3mのバーディパットがカップに蹴られるなど、スタート直後はわずかにパットがずれチャンスを逃す場面が続いた。その流れが変わったのが、ツーオンに成功した5番パー5。12mのイーグルパットをしっかりと30cmまで寄せてきっちりバーディを奪うと、続く6番も2mのチャンスを沈めて連続でスコアを伸ばした。「ショットはすごくいい。パットも少し読みのずれがあるくらいでストロークの問題ではない。昨日ほどは悪くありませんでした」。その後も4つのバーディを積み重ね、伸ばしあいの展開にしっかりとついていった。
この日は、予選ラウンドに続いて同級生の勝みなみと、今大会限りでツアーの第一線から退くことを表明している一ノ瀬優希とのラウンドとなったが、この2人のプレーにもけん引された。
勝は1つのイーグルなど一気にスコアを7つ伸ばして、2位タイに浮上。さらに一ノ瀬も5番でイーグルを奪うと、その後の2ホールも連続バーディと、アグレッシブなゴルフで会場を沸かせた。「最初からみなみが飛ばしていたし、優希さんもバーディが続いて、すごくいいリズムで回れました」。組全体が活気づく一日だった。
なかでも、一ノ瀬のプレーから大事なことを再確認。「ロングパットも、どんな時でも強気。私は最近ショートすることも多いし、5番のイーグルパットも短かった。『強気じゃないとダメだな』と改めて思いました。アプローチもすごかったし……経験ですかね」。プロの一線で12年もの間戦ってきた選手の気持ちや技に目を奪われた。
まだツアー本格参戦1年目とあって、当分先の話にはなるが、自身の“引退観”も口に。「私はいつか米ツアーに行くとは思うけど、最後は日本で終わりたいですね。結婚もいつするかは分からないし、その時どういう判断をするかはそうなってみないと分からない。でも、40歳までは(ツアーで)プレーしていないと思います」。さらなる飛躍を目指すルーキーと、ひとつの区切りを決断したベテラン。対照的ともいえる相手とプレーし、そんな考えに思いを巡らせた。
あすは、当然優勝も視野に入ってくる。8打差逆転の劇的勝利を挙げた9月の「デサントレディース東海クラシック」以来となる国内ツアー今季4勝目についての意気込みを聞かれると、「ここで勝ったらかっこいいですよね」と言って目を輝かせた。18ホール中17ホールのパーオンを評価し、「このショットが打てれば、チャンスは出てくる」と、強い自信も胸に最終日を戦う。(文・間宮輝憲)
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