<カシオワールドオープン 事前情報◇27日◇Kochi黒潮カントリークラブ(高知県)◇7335ヤード・パー72>
誰にでも忘れられない1打がある。塩見好輝にとってのそれは、今年の「日本オープン」最終日、15番の2打目だった。
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後続に4打の差をつける単独首位で迎えた最終ラウンド。しぶとく首位を守っていたが、2位に2打差に迫られて迎えたのが15番パー4だった。フェアウェイから打ったセカンドショットが、グリーンからこぼれバンカーに入ると、そこから苦戦。結局5オン2パットのトリプルボギーを叩いた。「誰でもパーが獲れるような所からトリプル。それはちょっとだめですよね。考えられなかった」。ここから糸が切れたように崩れていった。
最終的にトータル5オーバーの10位タイで終えた日本オープン。「何回思い返しても、『あそこでこうすれば』という“たら・れば”しか出てこない」。勝てば5年間のシード、さらにもう少し上位に入っていれば賞金シードも決まっていたかもしれない。それでも悔しさの方が大きく勝る1戦は、成長を見せつけた試合でもあった。
東北福祉大で主将を務め、プロに転向したのは2012年。2年目の14年にQT33位の資格でツアーに本格参戦すると、「セガサミーカップ」で8位タイに入るなど賞金を積み上げていった。そしてその年、賞金ランク67位で自身初の賞金シードを手に入れた。しかし、15年にシードから陥落すると以降奪還にはつながらず。同年代では秋吉翔太、大槻智春、小鯛竜也らがシードに入り、優勝するなかで「置いていかれた気分だった」とこの5年間を振り返る。
「とにかくがむしゃらだった」と振り返る初シードの頃と比べて、今では経験を重ね冷静さも併せ持つようになった。日本オープンでも緊張する様子を表に出すことなく、最終日は「緊張はなく、いけるなと思っていた」と笑顔すら浮かべての優勝争い。結果を考えれば“たら・れば”が浮かぶ1打も、最後まで攻め続けた結果だった。
今季は男子下部ツアー(AbemaTVツアー)19位の資格でツアーを戦う。ここまで13試合のみの出場にとどまっているが、賞金ランクは66位。シード獲得ラインの65位との差はわずか1万6875円となっている。「ここでしっかり決められるか、QTにいくかの違いは大きい。最後はしっかり笑顔で終われるように頑張りたい」。今度こそ、目の前まで迫ったチャンスをつかんでみせる。(文・谷口愛純)
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