2018年にステップアップツアーで2勝し、レギュラーツアーでも初シード獲得。そして昨年「リゾートトラストレディス」で初優勝を挙げるなど年々進化し続けている原英莉花。スタッツを見ると、ドライビングディスタンス4位、トータルドライビング3位(ドライビングディスタンスの順位とフェアウェイキープ率の順位を合算)、パーオン率10位、ボールストライキング3位(トータルドライビングの順位とパーオン率の順位を合算)と軒並みトップ10に名を連ねている。そんな女子ツアーが誇るショットメーカーの今季のクラブセッティングを見ていこう。
原英莉花のジャンボ仕込みの豪快ドライバーショット【動画】
師匠であるジャンボ尾崎を彷彿とさせる豪快なプレーを支えるクラブは、女子プロがあまり使わないハードスペックなものがずらり。フェアウェイウッドは3Wと5Wの2本、その下には3番のアイアン型ユーティリティが入り、アイアンは4番から。「本当に男子プロ並みです」と原を担当するクラフトマンの笠原一成氏はいう。
2月の「ISPSハンダ・オーストラリアン女子オープン」が今季初戦となったが、その手に握られていたのは『ST200X』。「リゾートトラストレディス」を優勝したときにバッグに入れていたスプーン『ST190』シリーズの後継にあたる。ドライバーのシャフトは三菱ケミカルの『ディアマナ D-LIMITED』で、昨季優勝時はフレックスXだったが、今はSを使用している。オーストラリアの3日目に同組となった米女子ツアー通算19勝のクリスティー・カー(米国)から「彼女は球が飛ぶ。ポテンシャルは高い」と評された。
「昨シーズンの終盤に実際に試合で使っていたので、オフの調整がとてもしやすかったです。どれだけテストで打ったとしても、試合での感覚は変わってくることは往々にしてあります。さらにオーストラリアでのフィードバックもあり、良い仕上がりになっていると思います。原プロも『高い弾道で距離が出る』と言ってくれています」。
ドライバーを含めてウッド類は3本のみ。これは女子プロでは希少な存在だ。それぞれのロフトはドライバーで8.5度、3Wで13度、5Wで15度となっている。「ウッドは飛距離が出ることが大前提。他の女子プロと同じようなロフトだと吹け上がってしまうため、かなり立てています。このあたりも女子プロらしくないセッティングと言えますね」。
■やさしいアイアンを使う理由は?
3本しかないウッド類の代わりに多く入っているのがアイアンだ。アイアン型のUTを含めれば8本も入っている。注目すべきは同じミズノのアイアンを使う申ジエ(韓国)や吉本ひかるらが使うミズノプロのセミキャビティの5シリーズではなく、同じミズノプロでもやさしいポケットキャビティ構造の9シリーズの『920』を使用していることだ。
「原プロはパワーもありますし、アイアンが得意な選手ですから『520』を打てないことはないです。ただ、『1年間戦うためにはなるべくやさしいクラブの方がいい』というジャンボさんの影響があると思います」
アイアンは今年のオーストラリアからのバッグイン。オフに様々なシャフトを試して初戦へと臨んだが、「テストでは良かったのですが、試合では少しハードに感じたようです」ともう少し調整が必要なようだ。それでも「日本ツアー開幕前に分かったのはすごくよかったです。フィードバックがあるのとないのでは全然違います」とシャフトを番手ずらししてみたり、少し柔らかくしたりと開幕に向けて様々な調整をしている。
■数字が良くても感覚が合わないと使わない
クラブに対する知識が豊富で、こだわりが強いという原。大事にしているのは「ドライバーからウェッジまで同じ感覚でスイングできること」だという。「原プロはこちらが“こう調整したから、こういう球が出るだろうな”と意図した球がしっかりと出ます。クラブの性能が如実にショットに出るタイプといえます。その中で僕らが見ていて良いと思っても、自分が思った球が出ていないと替えません。数字だけでなく感覚も大事。それだけクラブに対する要求が高く、こちらが勉強になる部分も多々あります」
こだわりが強いタイプからこそ、昨シーズンからの準備、そして2月に海外の試合に出たことで大いに生きてきそうだ。見通しの立たない今季の国内女子ツアーだが、このアドバンテージが開幕ダッシュにつながる可能性は十分にある。
【原英莉花のスペック】
1W:ST200X ロフト8.5度 Diamana D-LIMITED 50 S
3W:ST200TS ロフト13度 Diamana D-LIMITED 50 S
5W:ST200 ロフト15度 Diamana D-LIMITED 60 S
3U:MizunoPro FLI-HI ロフト19度 Diamana Thump プロトタイプ 85 S
4I〜PW:MizunoPro 920 Diamana Thump 95 S
51度:ミズノプロトタイプ 51度 N.S.PRO MODUS3 105 S
58度:ミズノプロトタイプ 58度 N.S.PRO MODUS3 105 S
PT:トゥーロン2020 プロトタイプ
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