現地時間の5月17日、いよいよ米国内で2カ月ぶりのライブ・ゴルフが再開される。
驚異の飛ばし マキロイのドライバースイング【連続写真】
“テーラーメイド・ドライビングレリーフ”にはローリー・マキロイ(北アイルランド)とダスティン・ジョンソン(米国)VSリッキー・ファウラーとマシュー・ウルフ(ともに米国)の2チームがフォアサム(ベストボール)で18ホールの戦いで、新型コロナウイルス感染者などへの基金にするスキンズマッチだ。
さてその会場となるのはフロリダ州の『セミノール・ゴルフクラブ』。名前を耳にしたことはかろうじてあるかもしれないが、目にしたことはほとんどないだろう。それもそのはず、同コースがテレビに登場するのは初めてだ。
フロリダ州ジュノビーチ、タイガー・ウッズらが暮らすジュピターにほど近い、大西洋を臨む海岸沿いにそのコースはある。
1929年、ニューヨークの投資家、E・F・ハットン氏により名匠ドナルド・ロスの設計で造られた18ホールは、超のつくプライベートメンバーコース。その顔ぶれの豪華さはオーガスタ・ナショナルGC、世界一に頻繁に選出されるパインバレーやサイプレスポイントGCと肩を並べるといわれる。開場91年でのテレビデビューとなるから、コース拝見も大いに注目したい。
7265ヤード、パー72でプレー、トッププロにとっては長くないが「30フィート(約9メートル)のパットでグリーンから出てしまった」と事前会見でマキロイが語るほどの難グリーン。「大西洋からの風が吹けば非常に難しくなる。どうやら日曜はやや風が吹きそうだ」と警戒する。
ファウラーは「アイアンショットの精度が試されるコース。一番難しいのはグリーン周り」と話す。同コースはロスの代表作、パインハーストNo.2同様にグリーンは大きな傾斜でこぼれ落ちるのが特徴で、大西洋を望む荒涼としたリンクスコース。ベン・ホーガンが「マスターズ」前に練習をしたといわれ、コースレコードの「60」は同コースでヘッドプロを務めたクラウド・ハーモン(ブッチ・ハーモンの父)が47年にマーク。翌年にマスターズに勝利している。
セレブや政治家の社交場でもあり、ドワイト・D・アイゼンハワー、J・F・ケネディと米歴代大統領が頻繁に訪れ、絶大な人気を誇ったビング・クロスビーもお気に入りだった。過去のメンバーもそうそうたるもので、英国のウィンザー公爵、フォード創設者のヘンリー・フォードやジャック・クライスラー、ピート・ダイの名前が並び、現メンバーには元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ、全米ゴルフ協会(USGA)のマイク・デービス、PGA・オブ・アメリカのワーグ会長、設計家のリース・ジョーンズ、そして(全米プロフットボール)NFLのスーパースター、トム・ブレイディも新メンバーに加わったという。
毎年3月末にはメンバーとプロによる華やかなプロアマ戦が開催され、ファウラーはそこで3度の優勝を挙げているからコースを熟知しているよう。久しぶりのトッププロによるライブ・ゴルフ観戦で新たなコースの魅力も発見できそうだ。大会は米国東部時間午後2時(日本時間18日、午前3時)から開始される。(文・武川玲子=米国在住)
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