新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いていますが、少しでもトーナメントのアツい一瞬を味わってもらおうと、カメラマンが見た印象的な涙のシーンをご紹介。今回は、石川遼がアマチュア優勝を飾った2007年の「マンシングウェアオープンKSBカップ」から。佐々木啓カメラマンに当時の様子を振り返ってもらった。
高校1年生がいきなりプロに交じって優勝を遂げるという信じられない出来事が起こったのがこの大会。バンカーからのチップインバーディなど、見せ場をつくった石川だったが、佐々木カメラマンにとっては、最後のインタビューでの涙が印象に残っていた。
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まだこのときは、当然現場の誰も“石川遼”を知らなかったんですよね。しかも、この試合は初日が悪天候で中止になって最終日は36ホールの長丁場。気がついたらアマチュアがどんどん順位を上げていって、最終組よりもだいぶ早くホールアウトして、さっそくテレビ中継のブースに連れて行かれていました。出場していたプロ選手から『あのアマチュアは何者なんだ』って聞かれたのを覚えています。
それが、ここを皮切りに“石川遼ブーム”がはじまるわけですね。当時は男子ツアーがそこまで注目されていなかったので、カメラマンや記者の数も今ほどは取材に来ていなかったと思います。この週、女子ツアーでは「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」で横峯さくら選手が逆転のシーズン初優勝。女子ツアーに行っていた知人のカメラマンから、「女子のほうが盛り上がっているかと思ったら、大変なことになっているじゃないか」と電話がかかってくるほどでした(笑)。
“大変な”快挙を成し遂げた15歳は、当時からスピーチが上手でとても驚きました。優勝会見で本当に話がうまくて、『本当に高校生か!?』と関心するほど。ですが、やっぱり泣き顔は年相応ですね。今ではツアー通算17勝。昨年も3勝しましたが、こんなに顔をくしゃくしゃにして涙する姿は、もう見られないかもしれないですね。
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