<日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯 初日◇10日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇6640ヤード・パー72>
ここまで4戦中2試合で予選落ちを喫するなど苦しんできた菊地絵理香が、今季の国内女子メジャー初戦の初日を4アンダー・5位タイで終える好発進を切った。ここにきて、新型コロナウイルスの自粛期間中にハマった“迷路”の出口が見えてきた。
風も穏やかな午前組でスタートすると、アイアンから放たれるボールがしっかりとピンに絡んだ。「ショットで獲ったバーディですね」と、スコアを伸ばした5つのホールのチャンスは最長でも4mのパットを残すだけという状態。後半の15番パー4では、8番アイアンで放った残り130ヤードのセカンドを“OK”の位置につけるなど、瀬戸内海に面するリンクスでショットメーカーにキレが戻った。
「アイアンの感触が悪くて、それがずっとストレスでした」と、ここまでの戦いを振り返る。そして、その原因はなかなか終わらなかった“長いオフ”にあった。試合中止が続くなかで、「いろいろ試したくなってしまった」とプレー面で試行錯誤を続けた。その結果、「いったいどうしたらいいものか、という状態が続きました」と、自分のゴルフを見失った。
特にアイアンへの手応えを感じられず、深刻なものになっていった。スイングだけでなく、「アイアンも7セットくらい替えて、分からなくなりました(笑)」と迷走の時間を過ごすことになってしまった。
開幕してからもなかなか状態が上向かなかったが、ようやく2週前の北海道での地元大会「ニトリレディス」で復調への兆しを感じ取ることができた。その大会こそ予選落ちしたが、続く「ゴルフ5レディス」(最終結果40位タイ)のプレー内容で「確信に変わりました」。スイングを元に戻す取り組みが結果的に実を結びそうで、「これをガマンして何週も続けていくことができれば、いいショットも増えそうですね」と実感できるようになった。
“日本女子プロ”というタイトルについては、「重みが違いますね」と特別な感情を抱く。「偶然では勝てない。ガマンできた人が勝っている。頑張りたい気持ちはありますね」。しかし、ビッグタイトル獲得以上に重要視するのが、長いシーズンを戦い抜くため、さらに状態を上げていくことだ。
「まだ初日。終盤でいい位置にいれば、嫌でも(優勝は)意識してしまう。その状況でプレッシャーを感じながらも、自分がやりたいことを続けることができれば自信になる。あまり結果は考えずプレーしたいですね」。明日も「合ってきました」とバッグに入れたタイトリストの『T200』アイアンを、迷いなく振りぬく。(文・間宮輝憲)
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