初戦まで一週間を切った2021年の国内女子ツアー。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、20年と21年シーズンが統合。シーズン半ばの長い休みを経て“再開”という異例のかたちで「ダイキンオーキッドレディス」が4日から始まる。
昨年の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の理事候補者候補選任選挙に当選し、今季から新理事を務める小田美岐に、そんなイレギュラーだらけの戦いの展望を語ってもらった。今回は昨年大活躍した若手たちの2年目のジンクスについて。
____________________
今年も黄金世代は強いと思いますが、プラチナ世代、その1つ下の世代にもすごくいい選手がいます。やはり、私が今年注目するのは笹生優花さんですね。昨年2週連続優勝を挙げられましたが、やはりモノが違うなという気持ちです。本人も意識していますし、ローリー・マキロイ(北アイルランド)のスイングにそっくりですが、私としてはヤニ・ツェン(台湾)が登場した時の印象です。ヤニのようになっていくのではないでしょうか。日本だけにとどまらない、世界でトップを獲ってほしいなと思える選手ですね。
もう一人は、古江彩佳さん。以前インタビューで「試合をやっていく中で技術がどんどんついてきた」と話していて、本当にすごいなと思いました。できなかったことが試合を経てできるようになるのは、これ以上強いことはありません。練習でいくらできても、試合でできなければ意味がないですから。古江さんの強さはそこにあると思います。
そんな2人は、今年がほぼ2年目の戦いになるのですが、アスリートによくいわれる、いわゆる『2年目のジンクス』は少ないと思います。陥るのはオフのお仕事が理由であることが多い。それまではオフはたくさん練習できたのに、活躍したことで取材を受ける機会が増えたり、スポンサーの方々をはじめとするプロアマに呼ばれたりと、なかなか思うように練習できなくなります。そして、苦しむのは練習ができないという技術面よりも、「練習ができていない」という心理的な弊害がなんです。
練習しているときは「あれだけやったから大丈夫」と思えるのが、不安を抱えたままやると「あまり練習できなかったからうまくいかないのかな」とネガティブな方向に行ってしまいがちです。ですが、今回のオフはコロナ禍ということで、取材もプロアマも少なかったと思います。そう考えると、あまり2年目のジンクスはないと見ています。
逆に気になるのが大勢のギャラリーのなかでのプレーです。古江さんが19年にアマチュアで優勝したときはかなりの人数が入っていましたが、昨年は全試合が無観客。ギャラリーの音だったり、話し声で気がそがれるという経験ができなかったということです。
昨年、若い選手が多く勝った要因は、それも1つあると思っています。人のプレッシャーというのがなくなりましたから。ギャラリーだけでなく、例えば日本以上に親が厳しい韓国では、コロナの影響で親が見に来られなくなったことで勝てた、というようにいわれている選手もいると聞きました。そこまではないかもしれないですが、日本もある程度そういった側面はあったと思います。そこが変わってどうなるか。乗り越えてほしいですし、それができれば昨年並みの活躍をすると思います。注目ですね。
小田美岐(おだ・みき)/1959年4月5日生まれ、京都府出身。通算6勝。ティーチングプロフェッショナル資格A級も保持している。現在は解説者として国内女子ツアーだけでなく、米国女子ツアーの解説を務めることも多い。21年3月からは日本女子プロゴルフ協会の理事も務める予定で、その手腕に期待がかかる。
<ゴルフ情報ALBA.Net>