21年初戦「ダイキンオーキッドレディス」でツアー3勝目を挙げた小祝さくら。身長158センチとツアーでは小柄ながら、ドライバーは高弾道でよく飛ぶ。昨年は平均245ヤードと自己申告していたが、オフにみっちりと走り込みや下半身強化に取り組み、さらに飛距離が伸びた印象もある。フットワークやスイングプレーンといった大きな部分が注目されがちだが、実は小祝はグリップを大事にしていた。
「辻村(明志)コーチには左手はフックグリップ、右手はスクエアに握れと言われています。左手はこぶしのナックルが3個見えるくらいかぶせて握ったほうが球のつかまりがよくなります。右手も同じように下からフックに握ってしまうと、私の場合は右プッシュのミスが出やすいので注意しているんです」
一般的なグリップのレッスンでは、「両手のヒラを合わせるような形で握りましょう」と教わる。小祝の場合、左手はフックで右手はスクエアなので、手のヒラの面がズレていることになる。これについて、辻村コーチにも話を聞いてみた。
「左手はフックグリップにしたほうが、余計なアームローテーションをしなくても球がつかまるんです。左手がスクエアグリップだと余計に手首をコネてしまいます」と辻村コーチは解説する。左手を最初からかぶせて握ることによって、バックスイングでフェースが開きにくくなるので、インパクトでそこまで手を返さなくても球はつかまる。
では、右手をスクエアに握る意味とは? 「それは振り遅れを防ぐためです。右手をフックに握ると、手元が浮いてフェースが開いたり、余計に手首をコネて引っかけてしまう可能性があります。右手をスクエアに握ることによって、インパクトゾーンが長くなり、球をグッと押し込んでいけるんです」と、辻村コーチは補足する。
フックに握ることによって、バックスイングではフェースが開きにくくなる。しかし、両手ともフックに握ると、ダウインスイングからインパクトではいくらでもフェースを返せてしまうので、フェースの管理がしづらくなる。あえて手のヒラの面をズラして握ることで、フェースの開閉を抑え、腕の振りと体の回転を同調しやすくなるというわけだ。
右手の握り方の基準は、親指と人差し指で握るV字の向き。小祝はこのV字が右肩と首の間に向くように意識して握ったことで、見事に21年初戦Vを手にした。
<ゴルフ情報ALBA.Net>