2021年6試合で3勝と無類の強さを誇っている稲見萌寧。その圧倒的な強さはどこからくるのか。2週連続優勝を挙げた翌日もきついトレーニングを行っているということで、早速千葉市内に飛んだ。
目下絶好調の稲見が「去年と一番違う部分」と語ったのが体力面。「今は日本もパワーゴルフになっている。米国だけでなく、日本でも通用していないと実感した。ゴルフよりも土台を作らないと、この先上位での戦いは厳しいと思った」。昨年の戦いが終了してから、千葉県千葉市のJR都賀駅ほど近くにあるパーソナルジムでウェイトトレーニングは元より、スタミナ強化を目指しキックボクシングのミット打ちを行うなど、厳しいメニューを課して自分を追い込んだ。その結果「筋力もそうですし、体重が増えて球が強くなりました」と強風が吹いた土佐カントリークラブで「66」を出せた理由はここにある。
それ以上に要因として挙げたのがスタミナの部分。トレーニングを行ったことで、昨年までと疲労の感じ方が激変した。
「今年も疲れは当然ありますが、ラウンド中の疲れ具合が変わってきました。一度休めば回復します。疲れてくるとお腹に力が入らなくて崩れたり、当たらなくなったり。頭も回らなくなりますが、今年はそれが減った」
このスタミナが勝利に直結したのが21年初勝利となった「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」。首位を走っていた10番パー5で、ティショットが大きく右に曲がり隣のホールへ。正規のホールに戻すため、ターゲットの確認など急斜面の往復を何度も強いられた。それでも「2ホール経ったら回復できた」とすぐに元に。さらにプレーオフも3ホールまでもつれたが、体力が切れなかったことで栄冠をつかんだ。この勝ち方は去年では考えられないことだった。
前週の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」も体力がなければ優勝できなかったといっても過言ではない。初日のスタートが大幅にずれ込んだため、連日のサスペンデッドによる長丁場の戦い。2日目は28ホールもラウンドした。
しかも、前週の「ヤマハレディース」を優勝しており、「優勝はもちろん、トップ10の争いはすごく体力を使う。プレッシャーがかかる場面ではいい緊張感もありますし、アドレナリンも出ます。プレー中は感じないですが、終わった後にドッと疲れが出ます」とすでに疲労困ぱい。そんな状況下でも最終日の終盤に3連続バーディを奪いプレーオフへ。同じく好調の小祝さくらが相手だったが、プレーオフ2ホール目にバーディを奪って勝負あり。見事2週連続優勝を勝ち取った。18ホール以上戦っても精度が落ちない、集中力が切れない理由はトレーニングのたまものだった。
それだけの勝利を手にしても慢心することなく、「本当はもう少し(ジムに)来たいですが、日程的に厳しいので最低でも週一回ここでトレーニングしたい」と、連戦の合間を縫ってウエイトトレーニングやミット打ちを行った稲見。史上3人目、史上最年少での3週連続優勝にも王手をかけている今週の「KKT杯バンテリンレディス」も期待大だ。
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