昨年、新型コロナウイルスの影響で延期となった日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のプロテストは、すでに5月11日の滋賀カントリー倶楽部から第2次予選(全3会場)が始まっている。今年は2020年度、21年度ぶんと2度開催の予定になっているツアーへの“登竜門”。この突破を目指す受験者たちは、どのような心境で今を過ごしているのか? 今回は7度目の受験となる荒川侑奈(ゆな)に話を聞いた。
ここまで踏んできた場数が、そのまま自信につながる。荒川は所属先の茨城県・サザンヤードカントリークラブを拠点に、積極的にミニトーナメントへのエントリーを続ける。こうして試合勘を維持しながら、今年のプロテストに備えてきた。
「これまでのテストは“人生がかかっている”と気負いすぎて、すごく重いものに感じていました。これでは普段通りできないよな、というのが今までの反省点。特別なことをやろうとか、しっかりやろうということは、今は考えないようにしています」
千葉県出身で、現在25歳の荒川が初めてプロテストを受験したのは聖徳大附属女子高卒業後の2014年のこと。そこから最終までコマを進めた年もあるが、合格には手が届かなかった。前回受験した19年は第2次予選で敗退。そして「ずっと調子がよかった」という昨年は、新型コロナウイルスの影響でテスト自体が延期になってしまった。
「試合でもたくさん勝てていたし、(延期を聞いて)最初はガッカリしました。いつ次があるかも分からない。でも、急にやるかもしれないと気持ちを切り替えて、“明日やります”と言われても大丈夫なように準備をしてきました」
JLPGAの規定変更により、19年から、原則正会員以外のQT(予選会)参加が不可能となった。これはすなわちテストを突破しないと、ツアーへの出場ができないことを意味する。“単年登録選手”として活動してきた選手にとって、あまりにも劇的な変化。そこで荒川をはじめ、同じ境遇に立たされた選手の多くは各地で行われているミニツアーに出場し、モチベーションを保っている。
「もちろんJLPGAの試合に出られるのが一番。ただそのなかでテストに受からなかった人たちの試合があるのも、だんだん知られてきています。1日で賞金100万円というような大会も増えていますし、そこで優勝できれば自信にもつながる。次の試合の遠征費にもなりますし、ありがたいですね」
前回のテスト以降、荒川も実戦のなかで腕を磨いてきた。そして「小さいのも合わせると…、分からないですね(笑)」というほど優勝経験も積んでいる。「リーダーボードがある試合もあるし、優勝争いはやっぱり緊張します。その緊張感のなかでプレーできるはいいことだなと思います」。多い時には6、7試合に出場する月も。こうした1試合1試合の経験が、テストを迎える前のメンタル面に自信という形で返ってきている。
福島県の五浦庭園カントリークラブでのA地区にエントリーした3月の第1次予選は、トータル1オーバーでトップ通過を果たした。「テストは、どうしても緊張してしまう部分があります。今まではうまくいきませんでしたが、普段の試合で優勝したり、成績を出せるようになってきた。いつも通りプレーできたのがよかったのかな」。やはり、この“いつも通り”という気持ちが第2次、さらに最終テストでも重要になってくると考える。
「ここからも特別なことはしません。普段の試合でやっていることができれば大丈夫だと思う。それが結果的に合格につながればいいですね」
その第2次予選は5月25日から始まる岡山県・山陽ゴルフ倶楽部でのC地区に出場する。ここは、ザ・ロイヤルGC、滋賀CCとほかの2会場も実際に回ったすえに選んだ場所だ。「勝負の年だと思っているので、(現在住む茨城県から)一番遠い場所だけどいいかなと。自分に合っているコースだと思いました」と、妥協する気持ちは一切ない。
持ち味は平均250ヤードを誇るドライバーと、「精度があがった」というアイアン。さらに「費やすのは1日10時間以上。ゴルフしかしてないですね」という情熱も支えに、今年こそ“合格”の2文字を手繰り寄せてみせる。
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