<ほけんの窓口レディース 最終日◇16日◇福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県) ◇6335ヤード、パー72>
ささきしょうこを3ホールに渡るプレーオフのすえに下し、ツアー通算2勝目を挙げた大里桃子。「初優勝は勢いだった。でも、今回は苦労した分、実力がついて勝ち取ったものだと思う」。表彰式では、その苦労を思い出し目に涙を浮かべた。
“苦労”の大部分はパッティングのイップスが占めていた。始まりは初優勝を挙げて出場した18年の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。アプローチを30センチに寄せたのにもかかわらず外してしまったことからだった。「コーライ芝というのはあるんですけど、“あれ?”となって。それから気持ち悪くなった。なんかおかしいと思ったけど、シーズンが終わってしまった」。以降、試合以外のゴルフでも違和感は残っていた。
そうして開幕した19年シーズン。完全に短いパットが気持ち悪くなり、打てなくなった。「それが本格的な始まりですね」と振り返る。「30センチも打てず、小学生でも入るよというパターが入らない」。何かを変えようと4月にクロウグリップ(左手は普通に持ち、右手は横からあてがうようにする)に変えたことが奏功し、「日本女子オープン」で2位に入りシードをつかんだが、「20年のシーズンからはクロウでも打てなくなってきた」と根本解決には至らず。
そうして迎えた21年。様々なことを変えた。「何か変えないと」とパターを33インチから36インチと大きくした。まっすぐ打つためのレールのような練習器具を取り入れて「ショートパット50回連続で入れる」という練習も始めた。考え方も改めた。「あまり深く考えないことにしました。今までならどうやったら入るか、どう打てば入るとか考えていたけど、今は外してもいいやというか全部入ると思っていない。そういう心構えです」。そして握り方は3パータンを駆使。「気分によって変える」というスタイルにした。
すると、一気に効果が出始めた。パターを替えて5試合目の「パナソニックオープンレディース」で優勝を争い、プレーオフで上田桃子に敗れたものの2位に入ることができた。これで「自信がついた」と本来の強気を取り戻すと、翌週の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でも2位タイ。そして今週、18番のバーディパット、プレーオフのパーパット、バーディパットと“勝負どころ”という状況が何度も続いたが、「今までパターで悩んできたことを最大限に生かしたい。今は自信持って打てている。外すことは考えなかった」と立て続けに決めて、まさに3度目の正直となった。
「悩んだ分、成長できたなと実感できた」としみじみ。目標は「ここで終わりではないので、3勝目、4勝目とできるように練習したい。海外志望もあまりないので、私は毎年前年の成績を上回りたいと思います」と謙虚に語った大里。黄金世代6人目となる複数回優勝者は、乗り越えた自信を胸にこれからも堅実に成長していく。
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