今週21日(金)から2021年の国内女子ツアー第12戦「中京テレビ・ブリヂストンレディス」が行われる。次週に続く愛知連戦の初戦を制するのは誰なのか。青木瀬令奈のコーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
■雨続きでグリーンは例年よりも遅め ポイントは長さが伸びた15番
舞台は愛知県にある中京ゴルフ倶楽部石野コース。今週の「全米プロゴルフ選手権」の舞台キアワ・アイランド・ゴルフリゾート オーシャンコースを設計した「悪魔のゴルフ設計家」ピート・ダイ監修のコースだけあって、池やクリーク、バンカーが多彩に配置され選手の行く手をはばむ。幾多のハザードが絡むなかでも大西氏が「今年ドラマが生まれる可能性が高いです」というのが、池越えの15番パー3だ。
「前回までの144ヤードから今年は168ヤードと約24ヤードも伸びています。もちろん前のティも使うと思いますが、最終日は後ろのティでピンは手前に切られるでしょう。グリーン手前の傾斜が厄介で、ある選手はピン手前1メートルに着弾しながらも池に落としてしまいました。風も読みづらいホールで、ほとんどの選手がユーティリティないしロングアイアンを持たされる。運も必要になってくると思います」
また、グリーンも例年とは趣きが違うという。「練習ラウンドをした選手やキャディの方に聞けば、雨の影響もあって例年よりも重めと言っていました。例年は速いグリーンですが、試合期間も雨予報が出ていますし今年はそこまで速くならないと思います。そのあたりへのアジャストも大事ですね」
■大事なのはガッツ 歴代覇者を見るとある傾向が…
ハザードが散りばめられたコースとはいえ、例年優勝スコアは15アンダー前後と伸ばしあいの戦いとなることが多い。守ってばかりいては頂点には手が届かない。
「このコースは他の大会以上にガッツがある人が上に来る。バーディを獲ったらノッていける。ボギーが来ても獲り返す。立ち止まってはいけません」
もう一つ歴代覇者の傾向として大西氏が挙げたのが、上田桃子、アン・ソンジュ(韓国)、森田理香子といったドローヒッターが多いこと。
「僕のイメージですが、このコースは右よりも左がOKとなるホールが多いです。左のミスは許容してもらえても、右に行ってしまうと距離が残るケースもある」。また、時季も大いに関わってくるという。「雨が多くなる時季なので、下が緩くなるとはいえフェードよりもランが出るドローのほうが距離を稼げます。また、雨では球がつかまったほうが縦距離を合わせやすい」と今回も有利になると見ている。
■21年波に乗り切れない選手たちが息を吹き返す
それらを踏まえて一番に名前を挙げたのが鈴木愛。「16年に優勝している以外にも大会との相性の良さはもちろん、ツアートップクラスのガッツは言わずもがなです。基本的にはドロー系がうまい選手。今年はなかなかリズムに乗れていませんが、得意コースで頑張ってもらいたいですね」。そして前回覇者ながら予選落ちが続いている勝みなみにも期待を寄せる。「勝さんもストレート系のドローを打つ選手で、バーディが続けば手がつけられない選手。勢いさえつけられればすごく面白いと思いますよ」と連覇も十分にあると見ている。
そして「ドローヒッターと言えば」としてピックアップしたのがイ・ボミ(韓国)。「ターゲットに対して真っすぐ構えて右に出球を出して戻ってくるドローは極上の一言でした。先週棄権した体調面は心配ですが、気持ちに元気が出てくればコースもアシストしてくれると思います。雨の試合でも何度も優勝していますから、そこも味方につけて欲しいですね」。
主催のブリヂストンスポーツと契約を結ぶ“ホステスプロ”では古江彩佳に注目しているという。「彼女もドローヒッターですし、先週同じブリヂストンの大里さんが勝って、同い年の吉田優利さんが優勝争いしてすごく刺激になっていると思います。まだ今年勝てていませんが、宮里藍さん以来のホステス優勝に期待したいですね」。前回大会では最終日に「65」を叩き出してベストアマ獲得。コースを知っている点も魅力的だ。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。プロゴルファーの大西葵は実の妹。
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