<ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント 最終日◇23日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)◇東コース(6804ヤード・パー70)>
首位と5打差のトータル14アンダーからスタートしたショーン・ノリス(南アフリカ)が、トータル21アンダーまでスコアを伸ばし、最後は大槻智春とスコット・ビンセント(ジンバブエ)をプレーオフで下して、19年の「トップ杯東海クラシック」以来となるツアー5勝目を挙げた。
「他の2人と比べたら、プレーオフの経験が自分のほうがあると思っていた。プレーオフではいつものプレーをこころがけていた」とノリスは振り返る。18番パー4の繰り返しで行われたプレーオフの1ホール目では、ノリスとビンセントがともにバーディ。先にビンセントが長いパットを入れたが、冷静にノリスが入れ返した。ここでダブルボギーの大槻は敗退。2ホール目でビンセントがパーオンせずにボギーとしたのに対し、ノリスはグリーン外からパターで上手く寄せて優勝を決めた。
慣れていたのはプレーオフだけではない。“日本初”のプロアマ形式で行われた今大会も、ノリスの地元・南アフリカのツアーでは、「プロアマ形式の試合が78%を締めている。1回勝ったこともある。だから慣れもあった。日本では初めてアマチュアとプレーしたけど、ルールをよく知っているしプレーも良かった。今回は4日間、和気あいあいと回れたし、全然(アマチュアからの)迷惑はかからなかった」と、好調なショットとパットが最後まで崩れることはなかった。
南アフリカは言わずと知れたラグビー大国。15年にイングランドで行われたワールドカップでは、一次リーグ初戦で日本が南アフリカに勝ってジャイアントキリング。しかし19年に初めて日本で開催されたワールドカップでは、決勝トーナメント一回戦で、日本のベスト4進出を阻んだ。
ノリスも16歳までラグビーをしていたが、「体が小さすぎてやめた。ポジションは体が小さいのでフルバック、キッカーだった」と明かす。ちなみに、JGTOのノリスのプロフィール欄に書かれた身長は188cm、体重は100kg。ゴルフ場で日本の選手と並ぶと、かなり大きく見えることを付け加えておこう。
18年シーズンの賞金ランクは2位、19年シーズンでも2位と、今平周吾という壁を前に悔しい思いをした。新型コロナウイルスの影響で2020-21年が統合された今シーズンだったが、昨年は政府による渡航制限で1試合も出ることができなかった。21年に入ってからようやくツアーに参戦しているが、そんな「出遅れ」もあって、今回の優勝賞金1000万円を加えても、賞金ランクは29位と上位は遠い。
「去年試合に参加できなかったことをふまえると、今年は賞金が離れている状態での参加になった。その差を縮めるべく、優勝を重ねていきたい。今年はあと2勝を目指してプレーしたい」
体調不良のため今大会でバッグを担ぐことができなかった弟(カイル・ノリスさん)と、2月に亡くなった親友のために目頭を熱くした男・ノリス。心優しき39歳が、今シーズンの主役候補に名乗りを上げた。(文・下村耕平)
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