8月10日(火)、11日(水)の2日間、三重県にあるCOCOPA RESORT CLUB 三重白山ヴィレッジゴルフコースで「U15全国ジュニアゴルフクラブチーム対抗戦」が行われた。今大会はゴルフを通じての健全なジュニア育成を目的とし、部活がなくても大会に出られるなどの門戸を広げるため4月に発足した一般社団法人ジュニアゴルフクラブチーム連盟(JGCF)が主催となって行われた。
北は北海道、南は沖縄、小学校3年生から中学校3年生と幅広い年代の様々なレベルの子供たちが一堂に会して行われた今大会。10月からはクラブチームの連盟への登録も始まりさらなる展開が予想される。そんなJGCFはどこを目指していくのか。どこに重きを置いて活動していくのか。JGCFの代表理事・井上尚彦氏に話を聞いた。
―まずは今大会を終えて今のお気持ちをお聞かせください
開催してよかった、というのが率直な気持ちです。初めての大会なので開催する前は不安もありましたが、終わってみてこういった大会をもっともっとやりたいなという気持ちになりました。
―その「良かった」というのは具体的にどの部分ですか?
クラブチームの仲間たちと一緒に2泊3日、ゴルフを含めて指導者が中心となった子供たちの輪ができて、その周りで保護者の方々が応援している。その仕組みをちゃんとできたところが良かったですね。
―改めて大会を開催した意義をお聞かせください
日本高等学校・中学校ゴルフ連盟(井上氏はこちらの代表理事も務めている。以下高ゴ連)はどちらかといえば競技が中心となっていますが、このジュニアゴルフチームというのはそうではなく、15歳以下の子供たちにまずはゴルフを楽しんでもらいたい、ゴルフをする子を増やしたい。そしてゴルフを仲間と一緒にやってもらいたいというスローガンがあります。
もう一つ、連盟を発足した意義として、小学校でゴルフをしていた子たちが中学校になるとゴルフをやめてしまう現状があります。やめてしまうのはもったいない。なぜやめてしまうのか。中学校でもゴルフを続けてもらおうと考えたときにクラブチームで、地域で仲間と子供たちが一緒にやるのがいいと思いました。そういったことをずっと考えていて、ようやくこの4月にこういったかたちで発足しました。
―その「楽しむ」ということで今大会工夫したことはありますか?
2人1組のチームでスクランブル(2打目以降良い方のボールを選択する競技方式)という競技方式もそうですが、競技だけでなくイベントとして夜にビンゴゲームとかみんなで和気あいあいとできるようにしました。2泊3日でみんなで楽しいイベントをする。そういうなかでチームの輪ができたりするかなと思いました。
―そういった競技、イベントを通じて他地域の子たちとも触れ合えたと思いますが、今回のチームはどう決められたのでしょうか?
北海道から沖縄までのチームに来てもらうと考え、かつ様々な成り立ちのあるクラブチーム、カテゴリを考えました。中学校のチーム、ゴルフ場・練習場のチーム、地域でのチーム。PGAのジュニアリーグ、スナッグゴルフのチーム、ファースト・ティのチーム。いろいろなカテゴリのチームを招待しました。
―楽しむなかで、マナーなどのゴルフを通じての健全な育成はどう伝えていくのでしょうか?
そこは本当に難しいところです。ゴルフはマナーの意識がとても高いスポーツ。でも、小学生が「ゴルフ面白いなぁ」、「やってみたいな」と感じているときに、あんまりマナーのことばかり言い過ぎるとゴルフが面白くなくなってしまうと思うんです。そこは言葉であったり、行動であったり寛容の気持ちを持ってあげないとダメ。そこのところは甘やかすわけではなく、分かってはいるけど寛容になってあげないといけません。
ゴルフはルールとマナーとエチケットの敷居が高い。この段階の子供たちには、ちょっと落としてあげないといけないなと思っています。まずはゴルフが楽しいことを伝えること。歳が上がっていけば、自然とダメなことはダメと分かってくる。マナーや礼儀などは、その年代になってあげてから教えてあげればいいと思います。
―今後はどうしていきたいですか?
もちろん今回のような全国大会の展開も考えていますが、まずは全国各地区にクラブチームの試合を作っていくことですね。協会であったり、企業さんであったり、プラットフォーム的なものを各地区に置いてもらえるようにしたい。そこをやっていこうかと思います。
何度も言いますが、大事なのはまずは子供たちにゴルフを楽しんでもらうこと。そこが一番。このクラブチームというのは普及と振興であって、育成ではないんです。ゴルフをやっていない子にゴルフさせてあげる。やり始めた子にはゴルフは楽しいと教えてあげる。それがこの連盟の一番の意義。ゴルファーとして強くしたい、世界に羽ばたきたい。これは高ゴ連の仕事ですから。
テレビなどでゴルフの試合を見て子供が「やってみたい」と思ったときに、やらせてあげられる環境を作りたい。「道具どうするの?」「指導者どうするの?」ではではなく、「あのクラブチームに行ったら?」「週に一回行ってみようか」と言える環境を作らないといけません。
―確かに野球やサッカーにはクラブチームがあるから始めやすさがありますよね
僕はボーイズリーグ(少年硬式野球の団体の一つ)をやっていました。サッカーもそうですが、そういったところをある意味モデルにしています。
―特にどこを参考にされていますか?
指導者がプロではないところです。ゴルフはプロが指導しなければいけないと言われていますが、野球はゴルフとは反対でプロがアマチュアを指導しにくいんです。小学校、中学校のゴルフを始めたばかりの子にプロゴルファーがいろいろ言うよりも、ゴルフを好きな人が面倒を見てあげるというのが、最初のゴルフへのとっかかりとしては大事だと思います。今大会も来てくださった指導者の方々も半分以上がアマチュアです。ゴルフ場の支配人だったり親御さんだったり。それでいいんです。
高校の野球部の監督もアマチュアがほとんどですよね。でも、そこからメジャーリーガーが生まれているんです。ゴルフもそうだと思うんです。まずその入り口を作って、高校ではもっとマナーや技術と言ったシビアな部分を言っていく。そういう段階を作っていくことが大事だと思っています。
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