<TOTOジャパンクラシック 事前情報◇3日◇瀬田ゴルフコース北コース(滋賀県)◇6616ヤード・パー72>
今週の国内女子ツアー会場では、練習グリーンに登場した見慣れぬ“ブラックパター”に選手たちが興味津々。実際に手に取り、ヘッドを見比べ、そしてボールを転がして、その感触を確かめていた。そのパターが、オデッセイ『トゥーロン』の新シリーズだ。
兵庫県のABCゴルフ倶楽部で行われる国内男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップ」会場と同時に、女子の瀬田ゴルフコースでも“お披露目”されたこのニューパター。上田桃子、西村優菜、河本結、田中瑞希をはじめとするキャロウェイ契約プロによるテストも行われた。そのなかでも特に早く手に馴染みそうなのが、現在、前作トゥーロンのマレットタイプ『アトランタ』を使用する河本だ。
河本にとって、このエースパターは思い出深いもの。2019年の「アクサレディス」でツアー初優勝を挙げた時にも使用し、今もグリーン上のプレーを支えている。キャロウェイゴルフのツアー担当を務める桜井政彦氏に話を聞くと、テスト段階で河本は、「ボールが吸いつく感じで、パチンと打ちすぎる感じがない。速いグリーンでも打てそう」と好感触を示していたという。ここから現在使用しているパターと同じフローネックに調整し直し、テストを進めていく。
ではこのパター、前作との違いは何か? その1つ目の点についてキャロウェイゴルフのツアー担当・本杉保氏はこう説明する。「まずはフェース面のミーリング(溝)が複雑な凸凹に加工されている点です。これがボールをつかまえて順回転を生み出すために効果を発揮し、硬い素材だけど打感は軟らかいという感触につながります」。
練習グリーンでは、桜井氏がこのメカニズムについて西村に「凹凸になっていることで、ボールとの接触面が少なく、それが打感につながっている」と説明するシーンも。この“つかまり”と“軟らかさ”が、河本の言う“吸い付く感じ”につながっているようだ。
さらに、前作はソール中央1カ所についていたウェートが、フェース面寄りの両端、つまり2カ所につけられている。「まずフェース寄りに配置し前重心になったことで、ヘッドがブレずにボールを押してくれます。そして両端2カ所にあるので、ミスヒットの時にもヘッドがブレにくくなります」(本杉氏)。河本はテスト中、ミスヒットを想定し、わざとトゥ側、ヒール側のそれぞれで打ったというが、直進性が大きく損なわれることなく「ミスに強い」ということをその目で確認できたようだ。
河本にとっては、2年前に一緒に優勝したエースパターが“進化”を遂げたことになる。その19年はパーオンホールでの平均パット数が1.7974回の11位だったが、今季は1.8332と下がっている。規定ラウンド数を満たしていないため順位はついてないが、現在のランキングに照らし合わせると55位相当の成績。先週の「樋口久子 三菱電機レディス」で7位に入る上昇ムードのなか、2年ぶりのツアー優勝へ、この1本が終盤戦の切り札となるか?
西村も「前作のトゥーロンよりも易しい。出球が強すぎないので、緩まず打てる」とツアー担当者にその感想を伝えていたようで、こちらもウェートの調整をしてさらに試打を重ねていきそうだ。桜井、本杉両氏のもとに集まったプロの声で一番多かったのは「打感がやわらかい」という点。ヘッドの機能面で大きな進化を遂げたこの1本を、今週はペ・ヒギョン、李知姫の韓国勢が“即投入”を決めているという。
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