昨年12月に行われた特別ファイナルクォリファイングトーナメント(QT)を1位で通過し、今年からレギュラーツアーに戻ってきた44歳の矢野東(やの・あずま)。直近の7試合でトップ5に3度食い込むなど、存在感が増してきている。11日(木)発売のゴルフ雑誌ALBA832号では、好調の矢野にスイングで大事にしていることを直撃。「ボール位置ですね」と本人は即答している。
具体的に聞いてみると「どんなにスイング軌道を安定させても、ボール位置が変わってしまっては、ショットの再現性にはつながりません。そのボール位置ですが、どの番手でも左足基準にすれば、一直線に並びます。この位置ならどのクラブでも同じように打てるので、大曲がりがなくなり、距離感も安定します」と、ボール位置の重要性を説く。
実際には「左足カカト線上から靴一足分内側のラインを基準にボール位置が決まる」という矢野。長いドライバーだろうが、短いサンドウェッジだろうが、左足とこのラインとの関係は変わらないので、いつも同じ場所にボールを置くことができる。スタンス幅を右足で調整することで、スタンスが広いドライバーではボール位置が外側に、スタンスが狭いサンドウェッジでもボール位置が内側に入るのだ。誌面では矢野の実寸大のボール位置を見せてくれているので、どの番手でも左足の一足分内側に、ボールが一直線に並ぶことが体感できる。
ボール位置の基準ができれば、ドローやフェードの打ち分けも簡単のようだ。「今どきのドライバーは球離れが速いので、昔のように意図的にインサイド・アウト軌道でドローを打とうとしてもフックや右プッシュになります。同じようにアウトサイド・イン軌道でフェードを打とうとすると、ブーメランスライスになったり、引っかけたりします」。
ではどうすればいいのか?「スクエアに構えた後、スタンスの向きをクローズにするだけでドロー、オープンにするだけでフェードが打てるんです。スタンスをクローズにすれば、ボール位置が基準の位置から左に変わるので、飛球線に対して軌道がナチュラルなインサイド・アウトになってドローに。フェードはその逆です。スイングそのものは変えてはダメですよ」という。これなら誰でも簡単にドローやフェードを打ち分けられそうだ。
最後に、ここ一番で飛ばしたいときのボール位置について聞いている。「ボール位置は左足基準のままでOKです。そこからさらに右足を右にズラして、スタンス幅を広げるだけでスイングアークが大きくなり、飛距離アップが期待できます。ただこのとき注意したいのはフェースの向きですね。右足をスライドさせるほど、顔も右に動きます。するとフェースがかぶって(閉じて)見えます。ここで、目標に向いていないと思ってフェースを開いてしまうと、右プッシュしたり、本能的にインパクトでフェースを閉じてチーピンが出たりします。最初に合わせたフェースの向きを信じることが重要ですよ」と教えてくれた。
プロでも試合が続くと、ボール位置が変わってきてしまう。ゴルフ歴の浅いアマチュアなら、もっとボール位置にバラつきが出る。矢野が教えてくれた“左足基準”のボール位置なら、いつも同じところで構えられそうだ。
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