横浜市・日吉のゴルフ練習場「梅里CC」で、週2回(水曜、金曜)のジュニアレッスンを行っているオーストラリア人コーチ、マイケル“トモヤ”スミス氏。子どもたちに小難しい理論を詰め込むのではなく、楽しみながらスキルアップを促すレッスンを実践する。「ただ打つのではなく、コースを想定して練習しなければ結果につながらない」と言うが?
練習前のウォーミングアップが終わると、さっそく子どもたちはウェッジを持ってショートゲームを始める。その前にマイケルコーチは、30ヤードくらいの地点にある青いエリアを指して「あそこの“池”に1バウンドでボールを入れたら1点。それを3回連続でできるかチャレンジしましょう。その次は“池”に直接ボールを入れられるか、それを3回連続でできるかをやってみましょう」(マイケルコーチ、以下同)と、自身が球を打って見本を見せながら子どもたちに伝えた。
その“池”を目がけて球を打つジュニアたち。すんなり3球連続でクリアし「5球連続できたよ」と喜ぶ子、2球連続はできても3球目が上手くいかない子、惜しくも2バウンドで入る子などさまざまだが、子どもたちはアプローチを成功させて得点をゲットしようと懸命に打ち続ける。
さらにマイケルコーチは、近代的なテクノロジーを使った“ゲーム”をすることもある。
「各打席に計測マシン(トップトレーサーレンジ)があって、その人が打った距離などのデータが表示されます。50〜60ヤードの間をキャリーで打てるか、それを3回連続でできるか。49ヤードでも61ヤードでも“ザンネン”です。それができたら次は、50〜55ヤードの間とレンジを狭くする。こういう最新テクノロジーも、使いすぎはあまり良くありませんが、上手に活用するととても役立ちますね」
ドライバーの練習になると「左のネット(※ジュニアレッスンは左端の打席を使用)と右のピン、その間を狙って球を打ちましょう。打球が左のネットに当たったり、右のピンより右に反れたらOUT。その間に3回連続で打てるかな?」と話す。それが上手くいかない子どもは、打つ前に目標を定めたりスタンスの向きを気にしたり、自ずと丁寧にアドレスしてから球を打つようになっていた。
ショートゲーム、アイアン、ドライバーとどの練習でも、マイケルコーチは一人ひとりのジュニアに寄り添うように、レッスン用のグッズを用いながら手取り足取りアドバイスしたり、自身と子どもで“対戦”をしたり。「こう打ちなさい」「コレはダメ」といった押しつけや否定ではなく、ゲーム性を取り入れて子どもの向上心やチャレンジ精神を引き出しながらスキルアップを促した。
「ボールを置いてただ打つだけでは、目標がありません。それではコースでどうするの? となってしまいます。練習では“ゲーム”を楽しみながら“頭を使う”こと。実際にジュニアの生徒(宮本もみじさん・小学5年生)が、コースデビューで100を切りました」
3時間かけて練習したから、1000球を打ちまくったからスコアが良くなるとは限らない。「どこに打つか」「何ヤード飛ばすか」といった“的”を設定して、そこへいかに高い確率で球を打てるようにするか、再現性を高めるか。1球でOKではなく、3球連続で狙ったところに打つ練習をするのはそのためだ。“1球目のナイスショット”よりも、プレッシャーがかかる“ラスト1球のミス”が、コースでは出る。ジュニアだけではなく、大人のゴルファーにも通じる教訓ではないだろうか。(取材・文/新井田聡)
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