<PGAシニアツアー予選会・最終予選 最終日◇4日◇トム・ワトソンゴルフコース(宮崎県)◇6741ヤード・パー72>
かつてレギュラーツアーで活躍していた選手たちが存在感を放った。「満身創痍。座骨神経痛がでちゃってさ」。痛み止めを飲みながらのプレーで、足を引きずりながらクラブハウスに引き上げてきた高見和宏(62歳)だが、4バーディ・ボギーなしの「68」と会心のゴルフでトータル1アンダー・3位タイフィニッシュ。今年の国内シニアツアーの出場権を手にした。
きのうまでの全体のスコアを見渡して「トータル3オーバーなら試合に出られる」。この日は最低でもパープレーを目標に設定した。パッティングが冴えわたり10番までに3つスコアを伸ばして“貯金”ができると「あとはダボを打たないように心がけた」。
林に入ったらグリーンに近づけようではなく、きっちり3打目の打ちやすいところに置くなど、欲を出さずに残りホールも淡々とプレーをし、さらに1つ伸ばしてフィニッシュ。「きょうは本当にいいゴルフをした。ボギーを打たなかったのがうれしいよ」と白い歯を見せる。
「やっぱり試合に出たいじゃないですか」。高見は1986年にプロ入り後、94年にレギュラーツアー初優勝を含む、通算2勝と10年以上にわたって檜舞台で活躍した。シニア入り後も「ファンケルクラシック」で大会2勝を挙げている名手も、気が付けば62歳。シニアのシード権は18年シーズンに獲得したのが最後で、毎年予選会から出場している。
「60歳を超えたけど、トーナメントで生活を立ててきましたから。やっぱりお客さんの前でゴルフができる喜びがあるので、それが忘れられない。スポンサーさんや支えてくれている方にも感謝の気持ちで戦いたい」
高見と同世代の加瀬秀樹も2日連続「71」を並べて、トータルイーブンパー・5位タイ(予選会順位は7位)。「きょうはいいゴルフだった。コースが難しいから、必死に耐えるゴルフができた」と胸をなでおろした。
2010年にシニア入り後、初めて受けた予選会。「毎日、毎日不安だったけど、よかった。練習ラウンドをたくさんやった成果が出たね」。1月末から宮崎入りして20ラウンドぐらいしたという“経験”がモノをいった。加瀬はゴルフ中継の解説者としておなじみ。きのうは「トーナメントに出てこその解説」と話していたが、今年も分かりやすい選手目線のテレビ解説も聞けそうだ。
高見、加瀬の上をいったのが、ツアー通算3勝を挙げる53歳、“若手”の日下部光隆。この日も「71」にまとめトータル2アンダー・3位で3日間を終えた。
昨年は賞金ランキング36位に終わり、1年でシード権を手放した。「昨年はロングパットが全然寄らないイップスになって、3パットが多かった。夏場以降は背中を痛めて思うようなゴルフができなかった」と振り返る。「今週もパッティングの対策を初めていたので、難しいコースでこの順位は、少しは自信になります。今年はパッティングと体のケアで、リベンジしたい」と意欲を見せた。
華やかな舞台を知る優勝経験者。プロゴルファーならではの感覚を知る3人は、口をそろえて「シード復帰」を今年の目標に掲げた。(文・小高拓)
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