「ブレスユー!」。開幕前日の取材中、くしゃみをしてしまった記者に対して、渋野日向子が即座に言った。
米国ではくしゃみをした人に対して「ブレスユー(Bless you)!」と言う習慣がある。それを言うことで「悪魔祓い」の意味があったり、「くしゃみをすると魂が抜ける」など由来は諸説あるが、日本ではあまり見られない習慣だ。
素早いレスポンスに笑いが起こった後、「よく(ブレスユーと)言われるんですよ」と笑顔の渋野。こういった一つ一つを切り取っても、米国に慣れてきたことがうかがえる。
意気込みを話した時もそうだった。西海岸特有の気まぐれでグリーンの速さや方向が一定になりにくいポアナ芝。ある種のあきらめを感じさせるように、「(芽が伸びる)明日のスタート時間なんてあきらめたほうがいいんかなってくらい(笑)。そこは臨機応変に、考えすぎずやっていきたい」と割り切った答えを出した。「日本ではそんなこと言えないですけど(笑)」とまとめたが、こういった“考えすぎない力”も米ツアーで戦うには必要不可欠だ。
その午後スタート、ポコポコ跳ねる状態となった初日は34パット。日本でも有数のパターの名手からすればかなり厳しい数字だが、それでも「ほかの2人もそんな感じだった。仕方ないかな、と考えすぎないように」と言い切った。一方で2日目も34パットを叩き、「昨日ほど割り切れていなかったかなと思う」と反省を口に。この辺りは今後の糧にする部分なのだろう。
ツアーメンバーとして米国本土での戦いの一歩目を踏み出し、予選突破へとつなげた渋野。まだまだ経験することはたくさんあるが、昨年敢行した長期遠征の経験はしっかりと生きていそうだ。(文・秋田義和)
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