<マスターズ 3日目◇9日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7510ヤード・パー72>
優勝した昨年は「65」をマークし、単独トップに躍り出たムービングデーだが、今年は厳しい戦いを強いられることになった。「77」とスコアを5つ落としてのホールアウト。「このコンディションに対応できなかった」と、トータル2オーバー・14位タイに後退した。
厚着をしても寒さに震えるほど冷え込んだコースに、苦しむ王者の姿があった。練習ではニット帽をかぶり、「できることはやった」と防寒対策もとったが、体はなかなか思うように動かない。スタートの1番では、2打目をグリーン右奥に外しながら、段を越える3打目を1メートルに寄せるナイスアプローチを披露。しかし続くパーパットがカップをなめ、外れる。これには「きつかった」と肩を落とすほかない。
続く2番も下りのラインながら、左2メートルのチャンスにつけた。しかしこれも決まらない。「思うように打てなかった」。初日、2日目と28回だったパット数は30回とダウン。要所を締めるはずのショートパットがカップに嫌われた。
5番で、展開はさらに苦しいものになる。ティショットがアゴの高いバンカーに入りパーオンに失敗すると、フェアウェイから打った3打目は斜面をのぼり切らずに20ヤードほど戻された。ここから3打を要する“素ダボ”で、イーブンパーまで戻されてしまった。
「昨日までとゴルフ自体は変わってない。ちょっとしたことでスコアは変わっちゃうので難しい」。5番もあと数ヤードキャリーがでていれば、結果は大きく変わっていた。7番もグリーン外からパターで打った3打目がカップを越えると、傾斜をどんどん下り10メートルほど離されることになった。このわずかな誤差が明暗を分ける。それが、オーガスタが“難関”と言われる理由にもなる。
前年王者が苦しむかたわらで、世界ランク1位につけるスコッティ・シェフラー(米国)が、最大でトータル11アンダーまで伸ばしていった。「すごいなと思いながら(見ていた)。去年の最終日の前半が終わった時、(自分も)こんな感じで見られていたのかな」。折り返し時点で2位に5打差をつけていた1年前の自分と重ね合わせる。ただ松山も最後は1打差まで迫られたように、シェフラーも終わってみればトータル9アンダーと1つ伸ばしただけ。改めてスリリングなコースだ。
「トップと離れてしまった(11打差)ので、チャンスはなかなかないと思う。一つでも伸ばして終われるように頑張ります」。史上4人目の連覇は果てしなく遠いものになった。ただ抱えていた首痛は問題なしを強調。最後まで“王者の威厳”を見せてもらいたい。(文・間宮輝憲)
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