3月に開幕した国内女子ツアーは早くも8試合目。今週は「フジサンケイレディス」が行われる。太平洋を望む川奈を制するのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
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■優勝スコアは昨年並みも…やっぱり川奈です
川奈ホテルゴルフコース 富士コースといえば、やはり年間で3試合しかないコーライ芝のグリーン。「月曜日から見ていますが、キャリーで真上に跳ねてそのまま止まる。目もきつく、パッティングでも切れる場面もありました」と今年も健在だ。コース自体も難しいと話すが、「とはいえ、ラフは短いので優勝スコアは昨年くらい(12アンダー)までいくのかなと思っています」と見積もっている。
風に負けない強い球、芝目に負けない強気なパット。頂点へたどり着くまでに技術は当然だが、一番必要なことは「目に見えない力で申し訳ないですが、ハートです」と言い切る。
「歩いているだけでもきついアップダウン、思ったように転がらないコーライ芝、真っすぐ飛ばさせない強い風…。今週、思い通りにいかないことはいくつもあると思います。それでもあきらめずに前を向けるか。やると決めたことを貫き通せるか。それが川奈を攻略するカギです」
■河本結らしい球が戻ってきた!
そんな戦いで一番の注目選手として挙げたのが河本結。元々熱いハートを持ち、アグレッシブなゴルフが持ち味だが、そこに調子も付いてきたという。
「練習場で見てもすごく重い球を打っていました。話を聞いてみたら、弟の力さんにアドバイスをもらってそれがすごくハマったようですね。先週までは正直、まだ好調とは言えないと思っていましたが、すごく河本結らしい球になっていました」
弟はどんな声をかけたのか。大西氏は「体の正面で打てるようになったこと、テークバックが大きくなったことだと思っています」と見立てている。「特にテークバックは手で上げている感じがあったのが、低く長いテークバックとなっていました。そうすればスイングアークが自然と大きくなる。これなら曲がらないな、と思いました。良くなる予感、雰囲気というのは形として出ます」と太鼓判を押した。
■コンビ復活の大山志保と、母としての強さを手にした大西葵
続いて挙げたのが大会2勝の大山志保。今週3年ぶりにデイナ・ドリュー氏がバッグを担ぐ。「名コンビが復活しますね。こういった目に見えない力は、想像以上に支えになると思います」とガッツウーマンのハートをより強くするという。
もちろん、ゴルフの面でも楽しみな要素が多い。「プロアマが後ろの組だったので見ていましたが、ピンを差すショットを打っていました。元々アイアンがうまく、強い風を苦にしない選手。さらにアドレナリンが出たら、バーディパットを決め続ける姿が見られるのではないでしょうか」と期待大。
もう一人が「身内でアレですが…」と妹の葵をピックアップ。「先週いいゴルフができたと話していましたが、見るからに調子が上がっていますし、出産で落ちていた体力が戻ってきたと言っていました。また、結婚してから(義弟でプロゴルファーの)伊藤有志さんと試行錯誤して、前向きに取り組んでいる姿も見ています」と状態は上向き。
さらにこんな援軍も。「今週は久々に母が応援に来るそうです。さらに、今回はお世話になっている戸張捷さんの大会。気合いを入れる、ハートが強くなる要素は十分すぎるほどです。いろいろな意味で真価が問われる大会になると思うので頑張ってほしいですね」と兄妹の“ハート”で締めた。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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