今季、国内男子ツアーで活躍した選手たち10人のスイングをプロコーチの鶴見功樹氏が解説。第1回目は、10月の「日本オープン」で国内ツアーに復帰した石川遼。スイング改造に取り組み、5戦連続の予選落ちを喫するなど大苦戦した。しかし、11月の「ダンロップフェニックス」で27位タイに入り復調のきっかけを掴むと、続く「カシオワールドオープン」では2位タイと躍進。新スイングに手ごたえを得ることができた。
【連続写真】石川遼のニュースイングを前方&後方から!
フェニックスでのスイングを昨年までと比べると、「欧米の選手のように肩をタテに使ってフェースローテーションを少し抑えるスイングに変えようとしているようですね。確かにそのほうが直進性も高まりますし、曲がりにくくもなると思います」(鶴見)。これまでよりも背骨に対して肩を横に回さず、タテに動かして肩の開きを抑えることでフェースの向きを安定させている狙いがある。
「今、世界の飛ばし屋の特徴は大きいウィズ(体からグリップをなるべく遠くにしてスイングの弧を大きくすること)とレイトコックというのが定番。石川選手はそのどちらもできていていいテークバックだと思います。テークバックで手元が時計の9時まで上がった時に、クラブヘッドはまだ11時。手首を使うのを遅くすることで大きな弧にしています」(鶴見)。バックスイングでは飛ばせる形ができている。
しかし、ダウンスイング時には課題があると指摘する。「ダウンスイングでは肩をタテに使う分、以前より右肩が下がっていますね。その分インパクト直後の右ヒジの伸びが甘く、ボールに力が伝えきれてない。フェニックスの時点では左手のリードは上手くいっていますが、体の右サイドの使い方が上手くいってないようです。そのへんが合ってしてくると以前のように球も捕まるでしょうし、飛距離もさらに出てくると思います」(鶴見)。石川自身もカシオの時に「まだ振れていない」と話していたが、ダウンスイングが今後の修正点になるようだ。
石川自身もシーズン中に話していたが、まだスイング改造は途上にある。「欧米の選手と比べると彼は小柄なので同じように振ろうとすると、右肩が下がり右ヒジの曲がる量が大きくなってしまう。右サイドが地面に近くなり、窮屈になるので、右ヒザの送りも大きくなってしまいますし、手元も高くなる。そうならないように考えながら、右肩が落ちる適正な位置を模索しているところでしょう」(鶴見)。石川のスイングはまだ変化を重ねてる段階、来年1月の「SMBCシンガポールオープン」ではどんな状態になっているのだろうか。
解説・鶴見功樹(つるみこうき)/1966年4月18日生まれ。東京都出身。99年に英国PGAメンバーに。02年に日本人初の英国PGAクォリファイプロフェッショナルを取得。04年より大山志保と師弟関係を結び、06年には賞金女王に育て上げる。今日までに指導した生徒数は10,000人を超え、現在も日本におけるただ一人の英国PGAプロフェッショナル。東京都港区三田でインドアゴルフスクール「鶴見功樹ゴルフアカデミー」を主宰している。
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