今季活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第35回は2017年のプロテストを一発合格した19歳・新垣比菜。2015年には、高校2年生でステップ・アップ・ツアー開幕戦を制して一躍その名をゴルフ界に轟かせると、同年にはレギュラーツアー3戦連続トップ10入りとアマチュア初の快挙を成し遂げた。プロ初勝利が待たれる“沖縄の星”のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
アマチュア時代からトーナメントで活躍していましたが、まだまだ伸びる可能性を感じさせる逸材です。スイング的にはしっかりと振り切ることができ、インパクト間際からクラブヘッドを走らせるのが上手い印象があります。ダウンスイングの切り返しでは力むことなく、手元とクラブが体の近くを通って下りてきます。切り返しからヘッドを走らせる準備が整っているイメージです。ここから目一杯リストを使い、シャフトが首の後ろにくるまで腕の振りを利用して振り抜きます。
新垣さんのいいところは、何といっても腕の使い方です。上体を十分に捻転して完ぺきなトップの形をつくると、ダウンスイングでは左腕とクラブでV字をつくり、顔と胸をボールの右に向けたままクラブを下ろしてきます。インパクトで左腕とシャフトが一直線になる形をつくると、フェースローテーションを行いながらフィニッシュまで振り抜きます。腕の振りだけを見たら、まさに理想的な動きであり、ポテンシャルの高さを改めて感じます。インパクト後の下半身の使い方を工夫すると、さらに腕の振りや上体の使い方を生かせるでしょう。
というのも、フォローで腰が正面を向いた状態だからです。おそらく、腕に意識があるからだと思いますが、下半身の回転が足りません。いくらヘッドスピードの7割は腕の速さだとしても、下半身を連動させてこそショットの安定感が生まれます。インパクトではもっとしっかり腰が入るべきかなと思います。左腰に右腰をぶつけるくらいの感じが出てくると、もっと力強い安定した回転が生まれると思います。
足と腕を5対5の割合で使えるといいのですが、今よりも下の動きを使ってボールをつかまえられれば、腕をもっと楽に使えるはずです。とはいっても、上体の形はめちゃくちゃカッコイイ新垣さんだけに、下半身を上手く使えるようになれば、国内ツアーはもちろん、将来的に海外でも活躍できるでしょう。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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