<ANAオープン 初日◇15日◇札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース(北海道)◇7063ヤード・パー72>
優勝2回、2位2回の相性の良さを発揮した。満身創痍のケガから3戦ぶりに復帰した池田勇太は、8バーディ・ボギーなしの「64」をマーク。首位タイで滑り出した。
アウトから出た池田は、1番、2番のバーディチャンスは逃すものの3番パー3で6メートルを沈めて初バーディ。7番、9番でも伸ばしてエンジンがかかり、後半12番から3連続バーディを奪った。17番パー5は2オン2パット、そして18番パー4は2打目を20センチにつけてバーディ締め。今大会の自己ベストスコアを1打更新した。
「パットに関しては逃したのもいくつかあった。それを言ってしまったらしょうがないけど、全体的にショットもすごくいい感じでプレーできた。特別な思いのある輪厚で、そしてANAオープンでいいスタートがきれてすごく気持ちがよかった」と振り返ったが、大会が始まる前は不安の方が大きかった。
「仕事場だから本当は試合を休みたくなかった」。試合に出続けることが池田の信条だが、2試合の欠場を余儀なくされた。7月の「セガサミーカップ」の第2ラウンド中に左首痛を発症。「ちょっとずつ炎症が始まり、土曜日にはまったく首が動かない状態になった」。3日目はその影響もあり「79」。それでも途中棄権せずに4日間を完走した。翌週の「Sansan KBCオーガスタ」は火曜日、水曜日とプレーできないまま本戦に出場したが「まったくやれる状況下ではなかった、というのが正直なところ」と予選落ち。痛みは首だけでなく「首をかばって打っていたので、左半身全部。年には勝てないってことですね」と範囲が広がった。
病院で検査を受けても原因は分からなかったが、さまざまな治療を行ったという。「原因は分からない。炎症を取り除いて普通に生活できるまでに1週間、ゴルフができるようになるまで1週間」とトレーナーらによる献身的なケアを受けて北海道入り。「月、火と2日続けてゴルフができたので、出てみようか」と不安を抱えながら初日を迎えた。
「打ち方や体のことを考えながら18ホールをプレーするなかで、ショットがアジャストできていたのは大きい」とラウンド中は首のあたりを気にする場面もあったが、痛みも出ずに回り切った。
好スコアの要因の一つには、この大会が「ANAオープン」だということもある。池田が幼少期に憧れていたジャンボ尾崎は、大会6勝を挙げて輪厚を“庭”としていた。それだけに、この輪厚で勝ちたいという思いは強い。また、飛行機好きの池田は幼少期からANAを“ひいき”にしており、以前はスポンサー契約も結んでいた。「コース、そして応援してくれるギャラリーの方の力は大きい。自分もやってやるという気持ちがあるので、(好発進は)いろんなものが重なったと思います」と輪厚に池田ありを印象づけた。
「試合になると力の入り方が違うので、今日のラウンドの代償はあると思う」とまだまだ予断を許さない状況。36歳は体をいたわりながら大会3勝目、ツアー通算22勝目に向けて進む。(文・小高拓)
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