<ウォルマートNWアーカンソー選手権 最終日◇25日◇ピナクルCC(米アーカンソー州)◇6438ヤード・パー71>
15、16、17、18番と繰り返すプレーオフ。その2ホール目で4メートルのバーディパットを決め、ダニエル・カン(米国)を下したアタヤ・ティティクル(タイ)は、爽やかな笑顔を弾けさせながら両手を高々と挙げた。やはりプレーオフのすえ勝利した今年3月の「JTBCクラシック」に続く、米ツアー通算2勝目に感慨もひとしおだ。
「とても解放感があるわ。(2勝目は)あと少しというところだった。これで今まで背負っていたプレッシャーを、おろすことができる。ハードワークが報われたことがうれしい」。“ジーノ”の愛称で親しまれる19歳のツアールーキーは、2つ目のタイトル獲得をこうかみしめた。
首位で迎えた最終日。笹生優花らと最終組に入ったが、前半はなかなかパターが決まらずパープレーとガマンの展開が続いた。後半12、14番とバーディを奪ったが、2組前にあがったカンが、最終18番で劇的なチップインイーグルを奪い、トータル17アンダーでクラブハウスリーダーになった。17番のバーディでそれに並んだが、ライバルのイーグルに気づいたのは最終ホールのこと。「パーで十分」というプランは崩れ、プレーオフに突入した。
プレーオフ1ホール目は互いにパー。2ホール目に「何も考えなかった」というクラッチパットを決め制した。この瞬間、アリヤ&モリヤのジュタヌガーン姉妹、ジャスミン・スワンナプーラに並び、タイ人として史上4人目の米国女子ツアーで2勝以上を挙げる選手となった。「2回目の優勝には大きな意味がある。自分でもそれができることを証明できたから。本当に特別なこと」。偉大な先輩とその名を並べたことも、大きなご褒美となる。
昨年12月、渋野日向子、古江彩佳も参加した「Qシリーズ」で3位になり、米ツアーのカードを手にした。“ルーキー”とはいうものの、17年に欧州女子ツアー「欧州女子タイ選手権」を14歳4カ月で制し、リディア・コ(ニュージーランド)が持つ15歳9カ月のプロツアー最年少優勝記録を更新するなど実績は十分。かつて世界アマチュアランク1位にも立った“タイの天才少女”が、米国でもその実力を発揮している。
これによりツアーのポイントレースでも、首位のミンジー・リー(オーストラリア)に約263pt差の4位(2246.627pt)に浮上。さらに、そのミンジーのほか、ジェニファー・カプチョ(米国)、ブルック・ヘンダーソン(カナダ)に続く4人目のシーズン複数回優勝者にも名を連ねた。いずれも今季のメジャーチャンピオン。そこに肩を並べたことについても、「ルーキーイヤーに成し遂げられたことに意味がある。大きな達成感を得られた」と言って、ニコッと笑う。
「今はオフのようにとにかく休みたい(笑)。もっと勝ちたいのは当然だけど、世界のベストプレーヤーと一緒にゴルフをして、あらゆる経験を積みたい。それが今年の目標ね」。かつての“天才少女”は、自らも“ ベストプレーヤー”への道を突き進んでいる。
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