ゴルフの魅力の大きな柱のひとつは、ボールが遠くに飛ぶことです。メジャーリーガーの大谷翔平が特大ホームランを打った、とニュースになりますが、その距離は、最大でも160メートル程度。ヤードに換算すれば約174ヤード。当たり前の話かもしれませんが、ゴルフなら女子でも175ヤード以上飛ばせる人がゴロゴロいます。飛ばし屋の男子なら、ほぼ2倍ほど遠くまでボールを飛ばすことが可能ですね。
ゴルフボール 1ダース7,000円台と1,000円台の安いボール。何でそこまで値段が違うの?
ボールを遠くに飛ばすという面白さでは、ゴルフはナンバーワンの競技でしょう。実際に、ボールが飛ぶという魅力にノックアウトされて、ゴルフの虜になったゴルファーは数えられないほどいます。他のスポーツと同様に、身体能力は飛距離とリンクするため、鍛えられた肉体を持ったゴルファーが当然有利に。しかし、ゴルフは体力だけで有利になるとは限りません。その好例が、とんでもない飛距離を誇る若者ゴルファーに、おじいさんゴルファーが圧倒的な差で勝ってしまうという事実です。それは、ゴルフが少ない打数を競うゲームで、経験値が重要だから。ウサギとカメの童話のように、飛距離という最初のリードは、1打ずつ正確に進むゴルフに抜かれてしまうのです。初めてゴルフをする人は、とにかく飛ばすことを覚えて、後から方向の精度を上げるというのがセオリーでした。特に年齢的に若いころは、ゴルフに限らず「小さくまとまるな!」「先に技術を覚えると伸びしろがなくなる」のような教えが主流だったせいもあるでしょう。ところが最近は、複数の研究者が理論的に考えると、先に確実性を身につけて、後から飛距離アップをするほうが効率が良いと主張し、インドアでボールを計測しながら練習をする新しいハウツーも登場して、セオリーが変わってきています。方向性がゼロではゴルフになりませんが、飛距離は当たりさえすればゼロにはなりません。それが、方向性を上げるほうが有利な根拠になるそうです。また、後発的に方向性を良くするのは大変ですが、飛距離アップはそれに比べると簡単だから、というのには説得力があります。さて、ゴルフは飛距離か、方向性か、という二択問題にも、これで正解が出ました。しかし理論的にはその通りでも、それだと何となく面白くない。これは僕自身の個人的な意見ですが、飛距離を追求するほうが面白いし、長い目で見ると、ゴルフにプラスになると考えています。自分の限界距離を伸ばす努力は、短期間で結果が出ますし、ゴルフをする限り続くであろう努力の基礎になるからです。ゴルファーは、年齢や性別にかかわらず、飛ばしたい生き物。まずは、飛距離で自分の限界突破に挑戦する方が、何となく楽しそうな気がするのは私たけでしょうか。(取材/文・篠原嗣典)
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