<全米プロゴルフ選手権 最終日◇12日◇ベルリーブCC(7,316ヤード・パー70)>
文字通りベルリーブCCが揺れた。海外メジャー最終戦「全米プロゴルフ選手権」最終日、4打差の6位タイから出たタイガー・ウッズ(米国)が8バーディ・2ボギーの「64」の猛追で、優勝にはあと一歩届かずもトータル14アンダー・2位でフィニッシュ。そんな会場を大いに沸かせたサンデーバックナインをもう一度振り返りたい。
【写真】大会最終日の激闘を写真で振り返る!
トップと2打差のトータル11アンダーでインコースへと出たウッズは、出だしの10番をきっちり2オン2パットでパーセーブ。次の294ヤードの“チャンスホール”11番パー4はティショットでアイアンを選択。残り90ヤードのフェアウェイにつけるも、2打目を約8mと寄せられず。バーディパットは「イン・ザ・ホール」の声に乗りカップへ向かうもわずかに届かず。両手をヒザについて悔しがった。
12番ではちょっとしたアクシデント。フェアウェイから1.5mにつけたウッズに続き、同組のゲーリー・ウッドランド(米国)が放った球はピン直撃。そのまま落ちてカップに当たり、カップぎわが崩れたため修復作業。この間、「レッツゴータイガー」コールが響き渡った。そして10分ほど中断して迎えたパットを沈めてバーディ。近くで見ていたメディアもガッツポーズ。
13番パー3は、勢いそのままティショットを約3mにピタリ。先に打ったウッドランドのパットを参考にして放った球はそのままカップへ。連続バーディとなり、パターを持った左手を高々と上げて大歓声に応えた。
だが、次の14番はアイアンで放ったティショットを右に曲げてラフへ。2打目はラフごと強引に打ったが、グリーンには届かず。さらに手前のフェアウェイからのアプローチを約4mと寄せられず。結局、このパーパットも決まらず14番グリーンにいた全員が頭を抱えた。
だが、切り替えが早いのがウッズの魅力だ。続く15番、フェアウェイからの残り164ヤードの2打目はピンにピタリ。だが、ウッズは“直接決めたかった”とばかりにクラブを地面にたたきつけ怒りを表した。このバウンスバックで、すぐさまトータル13アンダーに戻す。この時点で首位を走るブルックス・ケプカ(米国)とは1打差。ギャラリーの期待も高まる。
連続バーディの期待高まる16番パー3は、約6mのバーディパットを決められずパー。右手で“もうちょい”の仕草を見せる。残すはあと2ホールとなった。
次の17番はこの日16番目の難易度。優勝に向け絶対バーディを獲りたいホール。だが、ドライバーで放ったティショットは大きく右へ。またしてもクラブを地面にたたきつけ激昂。そのティショットが行った先はクリークすれすれの長い草が生い茂るハザード内のラフ。ラフごと持って行ったが結局フェアウェイに出すだけとなる。
残り234ヤードの3打目は絶対に寄せたいところだったが、グリーン左手前のバンカーへ。さらにこのバンカーショットを寄せられず2.7m残したがこのパーパットを沈めて望みをつなぐ。なお、このときの17番グリーン脇にはリーダーボードがあり、ケプカが16アンダーまで伸ばしたことが表示されていた。
3打差で迎えた最終ホール。差はついたが、諦めないファンからは「レッツゴータイガー」の熱い声援が飛び交った。期待に応えるかのように、ティショットをフェアウェイに置くと、2打目はピン手前6mに。グリーンに上がってくるウッズには、またしても「レッツゴータイガー」コールがいたるところから起きた。そして大ギャラリーの「イン・ザ・ホール」の声援が乗り移った球はそのままカップへ。バーディで激動のサンデーバックナインを締めくくった。
その後はキャディとがっちり握手をした後、フィニッシュしたウッドランドと熱い握手で健闘をたたえ合った。その後、最初に右手、そして左手で脱帽してギャラリーからの声援に応えた。
これまでの3ラウンドでウッズは、アウトコースを10アンダーとしていたのに対し、インコースでは2つ落としていた(※第2、第3ラウンドはパープレー)。そんな苦手意識があったインコースで、最終日に3つ伸ばすことができたのはかつての状態が戻ってきた証拠だ。
「とにかくバーディを取り続けるしかなかった。後少しだけ足りなかった」とホールアウト後に振り返ったウッズ。確実に新たなメジャータイトルに近づいている。そう予感させるには十分すぎるほどのサンデーバックナインであった。(文・秋田義和)
<ゴルフ情報ALBA.Net>