<CAT Ladies 最終日◇19日◇大箱根カントリークラブ(6,704ヤード・パー73)>
トータル10アンダーの首位からスタートした大里桃子が、3バーディ・3ボギーの「73」でラウンド。2位の森田遥に2打差をつけ、逃げ切り優勝を果たした。
【写真】表彰台で少し緊張気味?な大里桃子
1打リードで迎えた最終18番。ここで大里にビッグショットが生まれた。ドライバーで280ヤード近く飛ばすと、セカンドショットをフェアウェイに置き、グリーン左奥に切られたピンまで残り105ヤードの第三打。
「右から安全に行こうかなと思ったんですけど、かっこ悪いと思ってピンを狙いました。そしたら寄ってくれて。達成感で一杯のショットでした」
PWで放った決意のショットが、ピン20cmの位置にピタリ。「遠くから見ると、1mくらいはありそうで、安全圏ではないかなと思った。でも近くで見てホッとした」というショットで優勝を確実なものとした。先に森田がパーで上がったのを見届けると、あとは流し込むだけ。プロツアー初となるウイニングパットを決めると、笑顔で大歓声に応えた。
3打のリードを持ってスタートした最終ラウンドだったが、決して楽に手にした優勝ではなかった。1番でバーディを奪ったが、その後は伸ばせない展開。8、9番で連続ボギーを喫すると、急激なプレッシャーも押し寄せてきた。
さらに、「こういうゴルフをしないと、上(レギュラーツアー)では活躍できないのか」と大里に思わせる粘り強いゴルフを続けていた森田が、14、15番で連続バーディ。ここで1打差まで迫られた。すぐ後ろまで迫った相手から、ひたすらに逃げる、上がり3ホール。そんな極限状態で生まれたのが、18番のショットだった。
勝みなみ、新垣比菜らと同じ“黄金世代”の1人。だが、同じ九州出身の勝には「小学生のときに一緒にプレーしたら10打差をつけられた雲の上の存在でした」と大きく差をつけられていた。それでも、キャディを務める父・充(みつる)さんと二人三脚で、「プロになってから追いつけばいい」と練習を重ねてきた。
昨年の最終プロテストは合格に1打及ばず失敗。QT16位の資格で出場を続けたツアーも、春先に6戦連続で予選落ちを喫するなど苦しんだ。そんななか、新垣がツアー初優勝、小祝さくらが優勝争いの常連になるなど、同級生が活躍を続けた。「頑張らないと」。そう思うしかない毎日を過ごしたなか、つかんだ初優勝だった。
「ショットは曲がるし、アプローチも下手、パターは入らない。まだまだ下手くそなので、もっと練習して、早く2勝目ができるようなゴルフをしたいです」
今後の目標について問われ、そう答えた大里。2度目の受験となった7月のプロテストに合格後、わずか23日後にはツアー初優勝。入会前に優勝していた選手を除く最短記録を打ち立て、この日の主役となった。「みんながいなかったら、ここまでできていなかった」と話す同級生からの刺激も、大里をここまで押し上げた重要な要素の1つだ。
ツアー通算12勝の上田桃子らを輩出した熊本出身で、「震災で今も避難している人達に、少しでも元気を与えられるゴルファーになりたい」と誓った20歳。様々な想いを背負い、これからもツアーの主役になるための努力を続けていく。(文・間宮輝憲)
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