完全勝利を収めてから2年、石川遼が再び芥屋の地に戻ってきた。2016年2月から、腰痛のため5カ月ツアーを離脱。その復帰戦に選んだのが7月の「日本プロゴルフ選手権」だったが、長期離脱の穴は大きかった。
初日に「77」、2日目に「79」をたたいて127位タイの予選落ち。腰に負担をかけないスイングに変えたことがアイアンの距離感にも影響。「球の質も変化したので。思ったより飛んだり飛ばなかったりがほとんど」と、かみ合わない内容で惨敗を喫した。
そこから1試合空けて参戦した「RIZAP KBCオーガスタ」では、4日間首位を守って完全優勝。その後同シーズンでは国内ツアーに4試合出場したが、すべてでトップ10入りを果たす華麗な復活を遂げた。
日本プロからRIZAP KBCオーガスタまでの1ヶ月半で、どんな変化があったのか。「日本プロまでにどうしても間に合わせたいという思いがあった」と、気持ちが先行して調整不足のまま臨んだという当時の状態を振り返る。
11年の後半から徐々に腰の痛みが発症し、米国ツアーに本格参戦した13年からは、すでに慢性的な痛みに悩んでいたという。「痛みが出ないように無意識に打っていた」と、そこから腰に不安を抱えたままの戦いだったが、今年に入ってようやくそれが解消されつつある。
「結果を度外視すると、10年ぶりくらいという体の使い方で打てている」と口にする様子は明るい。今年から取り入れた筋力トレーニングがうまくかみ合い、腰周りの筋肉も使って振れるようになってきた。「今年は、ある意味再出発という位置づけで年明けからやりはじめて、当時は腰がどこまでよくなっていくかが課題だった。体のコンディションは思っているよりもいいスピードでよくなっている」と、ここ数年では見られなかった体の変化が現れている。
「腰の不安が0に近い感じで数ヶ月練習ができているのは、高校3年生以来の感覚」とこぼした石川。高校3年生は、2009年に最年少賞金王に輝いた年だ。当時の感覚に近づいているとすれば、16年に続く復活劇が期待できそうだ。
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