日亜共同主管大会の「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」最終日は、ほぼ池田勇太の独走状態となった。アジアンツアーのチャン・イクン(韓国)が1打差で池田を追いかけたが、最終日にスコアを崩して自滅。着実にバーディを重ねた池田が、2位に6打差をつけての圧勝を飾った。本大会でツアー通算20勝目を挙げた池田だが、これまでと違った一面が見られたと、JGTOのコースセッティング・アドバイザーを務める田島創志は語る。
【写真】キャディと終始ニコニコの池田勇太
■新しい表情を見せた池田勇太 その心を動かしたのは?
初優勝を挙げた2009年からの10年近くで、20勝を挙げた池田。16年には賞金王にも輝き、その実力はいまさら言うまでもない。さらに、「あれだけ(後続との)ストローク差がありながら気持ちを保ち続けこと、さらに平然とプレーしているように見せる池田選手はすごいと思いました」と、精神力の強さもさすがだ。
しかし、これまでとの変化で一番強く感じたのは「表情」。北海道で起きた地震の影響で、先週の「ANAオープン」が中止となったが、池田は現地に行って特別番組に出演した。被災地の状況を目の当たりにしたことで、池田の心境に変化があった。「感情が豊かな選手なので、このような時に自分がどういうゴルフの見せ方をすべきか、というのを池田選手なりに考えたのではないでしょうか。ラウンド中の立ち居振る舞いや表情に表れていて、強い意志が感じられました」。これについて、池田自身も「明るい情報を我々が提供しないといけないと思う中で、自然にその表情が生まれてきたのかもしれない」と変化を感じていた。
■やはりパワーが強い海外勢、そこに立ち向かう日本勢は?
とはいえ、20勝は意志を支える技術力があってこそ。300ヤードを軽々超すアジアンツアーの選手たちの中で、池田も劣らないパフォーマンスを見せた。大会4日間の平均飛距離は296.13ヤードで9位タイ。初日は307ヤードを記録している。「飛距離的には、タイガー・ウッズとそこまで変わらないと思います。ほかには今平周吾選手もそうですが、ショットの精度がすごく高いので、290ヤードほどのキャリーの中でこの精度でプレーできれば、海外でも十分戦える」と評価する。
大会トータルでの池田のスタッツを見れば、飛距離もさることながらフェアウェイキープ率9位タイ(62.5%)、パーオン率2位タイ(76.39%)の精度を誇る。「世界ランキングを上げていって、来年のメジャーでまた活躍してほしいですね」。
■海外での活躍に期待といえば、金メダリストの中島啓太
アジア大会で個人戦、団体戦ともに金メダルを獲得した中島啓太(代々木高校3年)にも注目が集まった。本大会では48位タイとローアマ獲得は逃したが、今季「オーストラリアンアマチュア選手権」で優勝するなどめきめき頭角を現している。
現在、世界アマチュアランキングは126位となっているが、「世界でどのくらいにいるのかを見て、しっかり戦っていってほしい。今後に向けてはおそらく飛距離がウィークポイント。体をつくって、アプローチの技術ももう少し身につける必要があると思います」。今後は大学に進学し、その上で海外ツアーでの活躍を目指している中島。「ショットもうまいし、ミスをしたとしてもそこまで曲がらない。ナショナルチームメンバーとしていろいろな試合にも出ていますし、海外で活躍できる可能性は十分秘めていると思います」と期待をかけた。
解説・田島創志(たじま・そうし)/1976年9月25日生まれ。ツアー通算1勝。2000年にプロ転向し、03年『久光製薬KBCオーガスタ』で初日から首位を守り、完全優勝。青木功JGTO(日本ゴルフツアー機構)体制では、トーナメント管理委員会 コースセッティング・アドバイザーを務める
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