<日本オープン 事前情報◇9日◇横浜カントリークラブ(7,257ヤード・パー71)>
2013年の「マスターズ」覇者が2年ぶりに日本のナショナルオープンに出場する。過去3度、「日本オープン」に出場してきたアダム・スコット(オーストラリア)が、10月11日(木)に開幕する本戦を前に、月曜日から練習ラウンドを行い、精力的に調整を重ねている。
火曜日はプロアマ戦で18ホールを回り、テレビ取材やプロアマパーティなどをこなし、暗くなりかけた会場で講演を行った。題して「フューチャー・ゴルファーズ・セミナー」。前々回の来日時から数えて3回目の開催。将来が有望視されるJGAナショナルチームメンバーや、会場の地元・神奈川県のジュニアゴルファーなど約40人を集め、スコットが自身のジュニア時代やツアーの話などを披露する、なんとも贅沢な時間だ。
講演のなかでスコットは、いくつもの金言を将来のスターたちに送った。
「勉強もちゃんとやった。それもメンタル的な訓練になるから。例えば、ケガをしてしまってゴルフができなくなるなど、何が起きるか分からない。だから勉強もしてほしい」
「緊張する場面では、いつもよりゆっくり歩き、呼吸をし、話をする。そういう場面ではきっと速くなってしまっているから、そうすることによって普段通りのスピードになる」
「人と違うことをするのを怖れないでほしい。僕は30歳の若さで長尺パターを使いはじめたけど、ゼロからやり直したかったから。回りからはいろいろ言われたけど、結果は良かった」
どれも説得力のある言葉ばかり。マスターズを制覇したナイスガイのアドバイスは、目をキラキラさせたジュニアたちの耳に心地よく響いたことだろう。
自身は5歳からゴルフをはじめ、ほかにもテニス、豪フットボール、クリケットなど各種スポーツを経験したが、13歳でゴルフ一本に絞った。「プロになりたいと思ったのだろうね」と、そこから19歳でプロ転向するまで夢を諦めず、目標を持って取り組んだ。
「アマチュアとしてプロの試合に出ていて結果も出ていたので決めた」と、00年6月にプロ転向。「そのときは『世界一になりたい』、『メジャーで勝ちたい』という目標を持っていたけど、ちょうどそのあとの全米オープンでタイガー(・ウッズ)が15打差をつけて優勝して、『これは難しくなるな…』と思ったんだよ(笑)」と、プロ転向時に味わった不安も笑い話で披露した。
美スイングに甘いマスク、人格者とくれば人気が出ないわけはない。それでも、期待されたメジャー制覇はなかなか、訪れなかった。そのときが来たのが13年4月。「13年後にようやくマスターズに勝てて、14年には世界一にもなれた。本当にほしければ、ハードワークを続けること。そうすれば実現のチャンスは残るから」。
今年は不振にあえいだが、8月の「全米プロゴルフ選手権」では優勝争いに絡み、調子は上向き。「大好き」と話す日本の地で、夢を持った少年少女の後押しを受け、ジャパンのタイトルを本気で獲りにいく。
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