<ブリヂストンオープン 最終日◇21日◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(7119ヤード・パー71)>
ようやく勝てたというのが正直な感想だった。昨年5月の「関西オープン」でツアー初優勝を挙げた今平周吾が、今季初優勝、通算2勝目を飾った。今季は惜敗続きだっただけに、無口でシャイな今平でもとびっきりの笑顔がはじけた、とはいかなかった…。
「いろいろ経験してきて、優勝するのは難しいなと考えていました。前半もリードされて、今週もダメかなと思ったけど、諦めなければいいことがあると分かりました」とクールに淡々と激戦を振り返った。
1打差の3位から出た最終日は、前半から苦戦。7番を終わってスコアを1つ落とした。「前半で離されていたので、自分から行かないと優勝はないと思っていました」と、ギアを上げた。前日までの「コンパクトに振る」イメージも優勝争いの中では「タイミングが合わなくて」と、8番から元のスイングに戻した。「そこからイメージが合いました」と、後半の猛チャージにつなげた。
まずは9番のパー5で2オンに成功して楽々バーディとしスコアを戻した。この時点で首位の川村昌弘と4打差。ここから今平劇場が幕を開けた。11番でバーディ、13番でもバーディを奪うと、14番でも2.5mのきわどいパーパットを決めた。15番ではティショットが左の林に入るも、フェアウェイに戻した後の3打目をピン左3mにつけ、これもパーセーブ。「一打一打に集中して、外れたら後がないという感じでやっていた」と、後半は圧巻の10パットにまとめた。
難易度の高い17番パー3でもピンを果敢に攻めて2.5mにつけてバーディとすると、川村がボギーをたたき逆転。はじめてリードを奪うと、最終ホールもバーディを奪い、上がり3ホール連続バーディで逆転勝利を締めくくった。「最後の最後まで気が抜けなかった」と終盤の攻防を振り返ったが、鮮やかな逆転劇は見事としかいいようがなかった。
これで獲得賞金も1億円を突破し、初賞金王に向けて前進。世界ランキング(WR)も上昇すると見られるが、目下の目標は「来年のマスターズに出たいです」と、年末までに出場資格を獲得するWR50位以内が目標だ。「たぶん、今年あと2勝しても届かないかもしれないけど」と、笑いながら答えるが、目標に掲げてきた年間複数回優勝を目指す第1関門は突破。ここから残り6試合は挑戦への大事なステップの連続だ。
現在のWRは85位で松山英樹、小平智に次ぐ日本人3番手。50位以内上昇とともに見据えるは、「地元ですし出場したいです」という2020東京五輪。会場の霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催される大会へも思いをはせている。そのためには、残り試合が少なくなった今季もギアを上げ続けなければならない。
9月の「ISPSハンダマッチプレー選手権」では決勝に進みながら、再三のチャンスを決めきれずに惜敗。ところがこの日は、定評のあるショット力に加えて、グリーン上でも圧倒的な強さと輝きを見せた。そんな自身のプレーに、「なんか…、らしくないですよね(笑)」と照れ笑いを浮かべるあたりが今平らしいが、目下賞金ランキング1位でWRトップ100。自信を持って高額賞金大会や海外招待選手が出場する秋のビッグトーナメントに臨めば、マスターズ、そして2年後に迫った五輪出場は自ずと近づくはずだ。(文・高桑均)
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