<大王製紙エリエールレディスオープン 最終日◇18日◇エリエールゴルフクラブ松山(6525ヤード・パー72)>
「4年ぶりだからすごくうれしいですが、今はちょっとホッとしています」。4年ぶり4度目の賞金女王に輝いたアン・ソンジュ(韓国)は喜びよりも安どを強調した。
【写真】黄金世代の仲間から祝福を受ける勝みなみ
賞金ランク2位の申ジエ(韓国)が2週連続で優勝賞金を獲得しなければ女王戴冠という“ほぼ決まり”という条件でもプレッシャーはとてつもなかった。「先週までは賞金女王は一切意識していなかったのですが、今週は気にしないようにしても意識してしまった。ジエは去年ここで勝っているので、ジエのスコアばかり気になっていた。正直に言って寝られなかったし、食べられなかった。つらかった」。
結局、最後まで自分らしいゴルフはできず、トータル8アンダーの27位タイ。だが、優勝争いをしていたジエがトータル13アンダーの4位タイでホールアウトしていたため、最終戦を待たずして決めることができた。
昨年は日本ツアー参戦後初めて複数回優勝ができなかった。「一回優勝できただけでもすごいこと」というが、成績的には下降気味だった。それが一転シーズン5勝を挙げる活躍。「周りが楽しくできるような環境を作ってくれた」など様々な要素があるが、ソンジュが真っ先に挙げたのがクラブ契約をフリーにしたこと。
1社だけでなく様々なメーカーのクラブを試せたことで「フェアウェイキープも良くなっていたし、パーオン率も上がった」とスタッツに表れているとおり、その影響は少なくない。実際にドライバーは5モデルのヘッドを試して、今季5勝のドライバーのスペックは全て違う。だが、恩恵はそれだけではなかった。
「自分にとって色々なクラブを使うことはとても楽しみでした。前のクラブが悪いわけでなく、契約をフリーにしたことでモチベーションがアップしたことや切り替えができるようになったことも大きいです」。さらに高みを目指す、という気持ちをクラブでもより表現できるようになったことは、さらなる前向きさも生み出した。
賞金女王で満足せず、ソンジュに前を向かせる要素がもう1つ。「これまで女王になった次の年の目標を立てるのが難しかったのですが、永久シードが近づいているので、難しいと思うけど頑張りたい」。現在28勝のため、あと2勝を挙げることができれば永久シードを手にできる。「ぜひ獲りたいです!」と珍しく明言をした31歳。まだまだその歩みを止めるつもりはない。(文・秋田義和)
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