12月6〜7日の日程で開催される「LPGA新人戦 加賀電子カップ」。近年稀に見るスコアの伸ばし合いとなった2018年LPGAプロテストを突破した第90期生・21名が出場するが、それぞれの選手の個性を紹介する。
現役シード選手としてプロテストを受け、見事を合格を果たした三ヶ島かな。
福岡県出身の三ヶ島がゴルフを始めたのは小学校4年生の時。現在キャディとして、ともにツアーを戦う父・直(すなお)さんの影響だ。「父が練習をしているのを見て、“何をやっているんだろう?”と思ったのがきっかけです」。こうして自らもクラブを握ることになり、そして、すぐに“プロゴルファー”という存在に憧れを抱くようになった。
「ゴルフ中継を見ていて、“自分の好きなことを仕事にできるっていいことだな”と思いました。好きなことを頑張れば、賞金がもらえる。強い魅力を感じました」
もともと水泳で体幹や基礎体力がついていたこともあってか、ゴルフもメキメキと上達。ジュニアの大会でも好成績を残す九州の有力選手の一人になっていった。だが、大会では“衝撃”を受けることばかり。
「一つ上の世代には、柏原明日架先輩、種子田香夏先輩のような強い方がたくさんいて…。『濃ゆいメンバーだなぁ』といつも思っていました。変な話、日本ジュニアで上位に行くより、九州ジュニアを通る方が難しいという感じでした」
ジュニアの試合に行って「すごい子がいる」と壁にぶち当たり、また一人で打ち込む…この繰り返し。だが「強い先輩がいるから頑張ろう」という思いが、上達への欲求をかきたてた。「九州の先輩はみんな憧れです。その背中をみて、追いかけて練習する。みんなで伸ばし合い、引っ張り合うという流れができています」。数々の名選手を生み出した九州勢の強さのヒミツも垣間見えた。
こうして切磋琢磨を続け、高校は福岡のゴルフ名門校・沖学園高に進学。入学時から念頭に置いたのは『プロテスト合格』だった。同級生にはともにプロを目指した篠原まりあらがいるが、「プロを目指していないけど、ムチャクチャ強い子もいました」と、ここでも周囲と競い合い、その腕を磨いていった。
こうして2015年に初めてのプロテストを迎える。しかし、ここで「ゴルフ人生最大の挫折」を味わうことになった。“不合格”という結果が突き付けられたのだ。
「終わった直後は抜け殻でしたね。1週間クラブを握ることができませんでした」
その年の合格者のなかには、種子田、篠原と、ともに成長してきた選手の名前もあった。「なんで私一人だけ…」。そしてはかり知れない悔しさを抱えた三ヶ島は、こう決断する。“プロテストに行かなくても私は戦える”と。ツアー優勝→正会員。この道を歩むことを決めたのだ。
同年のファイナルQTで5位に入って16年の出場権をつかむと、シード獲得とはいかなかったが、その年のファイナルQTではトップ通過。17年はフルシーズンを戦い、初シードを決めた。
だが、進む道を閉ざす可能性が突如として浮上する。それが規定変更。ここまで単年登録選手として参戦してきたが、来年からは一定の要件を満たさない限りは単年登録では、QT受験が認められなくなったのだ。シード入りを果たせば正会員となれたのだが、今季前半戦はケガの影響などもあり、なかなか調子も上がらず…。
「全然成績もふるわないし、ケガもするし…、あれっ?てなって。無職になるのはまずいと思いました(笑)」
こうして3年ぶりのプロテストに臨むことを決断した三ヶ島。
シード選手の肩書で受けたプロテストは、「落ちた時のことも頭をよぎるし、周囲も絶対に通るという雰囲気がありました」というプレッシャーとの戦いでもあった。結果は7位で見事通過。“職を失う”危機は逃れた。
終わってみれば賞金ランクも42位になり2年連続のシード入りも決定。結果的にはテストを受けなくても正会員の道が開けたのだが、ここでの経験は、三ヶ島のゴルフに好影響をもたらしたという。
「プロテストは一人で、誰にも相談ができません。いつもは父にすぐ相談してましたが、自分で考えることの大事さに気づきました。肝もすわったし、これまでのプレーを見直す、とてもいいきっかけになりました」と最終テストでの4日間は決して無駄なものではなかった。
この“ルーキー”が掲げる目標。それは「ツアー優勝」以外にはない。今季も何度も優勝争いを繰り広げながら、あと一歩のところで逃してきた。「惜しい試合も続いているし、そろそろですね」。その“そろそろ”は、決して遠いものではないだろう。
<三ヶ島かな プロフィール>
〇所属:ランテック
〇1996年7月13日生まれ
〇出身地:福岡県
〇身長164センチ、体重51キロ
〇血液型:AB型
〇ゴルフ歴:10歳〜
〇趣味:音楽鑑賞
〇スポーツ歴:水泳
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