今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第3回は「Tポイントレディス」など前半戦だけで4勝を挙げた鈴木愛。たぐいまれなパッティングばかりに目がいきがちだが、ショットの技術もかなりのもの。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に強みを聞いた。
“左ヒザの余裕”が肝要 鈴木愛のスイングを連続写真で見る
鈴木の曲がらないショットを生み出す最大の要因は“左ヒザ”にある。「スイングの中で一番いい部分は、トップから切り返してから左ヒザに余裕があり続けることです。左に流れたり、左足裏がめくれたりせずに左ヒザでしっかりと地面を踏み込めています。ここが暴れたら球筋は定まりません」。弓矢に例えるならば、左下半身が弓。そこがしっかりしていなければ矢は狙ったところに届かない。
なかでも辻村氏が「100点!」と声を上げるのが、ダウンスイングの下半身のポジション。「右足を地面に押し込むようにしながら体が回ってくる。ヒザの曲がりの深さもあるし、両ヒザから下の動きがとてもいいですね。野球のピッチャーの動きと一緒です。右足に乗せた体重を左足で受け止めるから、ボールに最大限のパワーを伝えることができる」。野球の投球動作でも左ヒザが“割れれば”、体が開きボールに真っすぐな回転を与えることができない。それと同じ要領だ。
鈴木のスイングの特徴といえば、インサイドに上げるテークバック。他のプロにはあまり見られないが、このとき大きく体を右に傾ける動きを入れて体重移動を行う。この動きが入るとダウンスイングでは体が左側に流れて、いわゆる“突っ込む”かたち、もしくはそのまま傾いた“しゃくり打ち”になりがちだが、トップの段階で鈴木がつくるスイング軸は地面と垂直になっている。上半身を大きく使いながらも、「鈴木さんはダウンスイングで体が立つ。この動きができるのも左サイド、特に左ヒザの受けがしっかりしているからです」。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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