今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第7回は、4月の「サイバーエージェントレディス」でツアー初優勝を挙げた新垣比菜のスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
ツアー初優勝を遂げた黄金世代 新垣比菜のスイング【連続写真】
新垣のスイングで辻村氏が最初に注目した点は、インパクトから足を蹴り込むことで生み出される“縦の動き”。
「スイングは縦の動きが大きくて、アップライトなスイング。クラブがすごく高い位置にあります。フィニッシュの形を見ると分かりますが、左足は真っすぐ“I字”に立っていて、右サイドは“C字”に反っている。これは、腹筋・背筋がしっかりと使えている証拠です」
この形が高く正確なショットを支えているが、この際に特筆すべき点として次のことを辻村氏は挙げた。それはベルトのライン。
「これだけ足を使って蹴り込んでいるのに、終始ベルトのラインは変わらない。これは、右サイドにできているC字が、しゃくってできているわけではないという証拠。アマチュアの人が同じことをすると、左腰が高くなって右腰が下がることが多いのではないでしょうか」
確かに新垣のベルトを見ると、ずっと同じ位置をキープし、キレイに水平に回っているのが見てとれる。「体が左にのけぞり、へそが上を向くのは、いいことではありません。200ヤード先を狙う時も、へそはボールが飛ぶ方向を指していないといけません」。新垣は、そのお手本のようなスイングをしている。
さらに辻村氏は、スタンスの“ある形”にも注目した。左右の足の間にできた空間を見ると、アドレス時は二等辺三角形だったものが、トップの時には体の右に体重がかかることで、右側が垂直方向に傾く三角形に変わっている。さらにフォロースルーでは、左足側が垂直の直角三角形のような形へと変化する。
「形は変わるけど、三角形自体が崩れることがない。三角形のなかで体重移動が行われています。トップの時は体の右サイドで、フォロースルー時は左サイドで体重を受けなければいけないということが、新垣さんのスイングを見ると分かります」
蹴り込みに見られる縦の動きと、体重移動に見られる横の動き。バランス良くスイングできていることが、新垣の活躍を支える基盤になっている。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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