今季優勝した選手のスイングから強さの要因、そしてアマチュアが参考にすべき部分を探る“Playback LPGATour2018”。第22回は、今季の「大王製紙エリエールレディス」でプロ転向後初優勝を挙げた勝みなみのスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が解説する。
アマ必見 勝みなみのスイングに見る飛距離の秘訣【連続写真】
身長157cmとプロとしては小柄ながら、ドライビングディスタンスは245.76ヤードの11位に位置。小さな体で飛ばせるのは器械体操を小さいころからやっていたため体幹、そしてバランス能力が高いだけでなく、勝のスイングにも理由があると辻村氏は語る。そのポイントを理解するために、まずダウンスイング時の両ヒザの開きを見て欲しい。
「トップからダウンスイングに移行する時に、勝さんの両ヒザが開いているのが分かります。丸山茂樹さん(身長169cm)などもそうですが、小柄な人が、ここで両ヒザをガバッと開いて、しっかりと足の裏に体重をかけてスイングするという人はよく目にします。重心をしっかりと落とすことで、結果的に飛距離アップを実現させています。強く叩くための重心の取り方が非常にうまいですね」
このダウンスイング時に重心を落とすスイングは、アマチュアにも参考になる部分だと辻村氏は続ける。
「アマチュアの方で、切り返しの時に伸びあがってしまう人は、勝さんのように一度重心を落とすことを意識すると、しっかりと振れるようになると思います。手を低くするのではなく、重心を落とした結果、手も下に落ちるというイメージ。クラブを上から下に落とすということは、重心も上から下に落ちないと振れるはずはないですからね」
さらに、勝のダウンスイングからインパクト、フォロースルーに向かっていく一連の流れにも辻村氏は目を見張る。
「グッと体を落とした後、ヒザの高さは変わらずにそのままインパクトを迎えています。蹴ってはいるけど、ヒザは上がらない。腰も浮かないし、左に流れたりもしていません。左右のヒザの間の空間の使い方がうまいですね」
重心の落とし方のイメージとしては、切り返しの時までに両足の裏にかかっていた体重が、ダウンスイングに入った時は倍になる感覚と辻村氏は説明。こうすることで上体から無駄な力が抜けて、そのままクラブが下に落ちて来ることでヘッドスピードが上がり、体とクラブの連動性が生まれて、結果として飛距離アップにつながってくる。そして、このスイングで、勝は待望のプロ転向後初優勝をつかみとった。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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