ついに幕を開けたLPGA女子ゴルフツアー2019シーズン!次なる舞台は春のアジアシリーズ!!日本のエース畑岡奈紗やスーパールーキーの山口すず夏ら日本勢の期待値を同ツアーを放送するWOWOW番組解説者の服部道子が分析!
【写真】スーパールーキーの山口すず夏も元気に現地入り!
2018シーズンはツアー2勝、そして世界ランキング7位という華々しい結果を残した畑岡奈紗。そして2019シーズン、さらなる期待が高まるなか、その舞台となる世界最高峰のLPGA女子ゴルフツアーが1月17日に幕を開けた。この初戦、新規トーナメントとなる「ダイヤモンド・リゾーツ トーナメント・オブ・チャンピオンズ」はプロアマ形式で行われ、プロは過去2シーズンの優勝者のみが出られるスペシャルなもの。日本勢では畑岡のみが出場し、26人のトッププレーヤーが超一流ならではのハイレベルな技術を見せつけた。3日目を終えて24位タイだった畑岡だったが、最終日に4アンダーで、大会4日間を通じて自身のベストスコア「67」をマーク。結果的に16位タイに終わったが、今シーズンの調子を専門家はどう見たのか。開幕戦を連日生中継で放送したWOWOWで、解説を務めた国内女子ツアー元賞金女王の服部道子に聞いてみよう。
LPGA女子ゴルフツアー、いよいよ始まりましたね。新しいフォーマットでの大会でしたが、振り返ってみていかがでしょうか?
■服部道子(以下、服部) 「スポーツ界のレジェンドなどセレブリティたちと選手が一緒にラウンドするという、LPGA女子ゴルフツアーでは初めてのイレギュラーなプロアマ形式でしたが、選手にとっては充実した大会だったのではないでしょうか。普段なかなか接する機会の少ない、他ジャンルのレジェンド達からトップアスリートとして学ぶことは多かったと思います。唯一ゴルフという競技がこういった趣向の試合ができる、というのが面白いですよね」
選ばれた26人のトッププレーヤーのみが参加し、日本人選手で唯一出場した畑岡奈紗選手のプレーにも注目が集まりましたが…。
■服部 「開幕戦というのは、選手にとってどうしても独特の不安があります。畑岡選手はさらにクラブもキャディも新たに替えて臨みました。そんな状況の中、最終日を4アンダー、ベストスコア「67」というのは価値あるプレー。それまでの3日間もパッティングの歯車が合わなかっただけで、決して調子が悪いという印象はありませんでした。結果は16位でしたが、最終日のアグレッシブなプレーは、まさに『今シーズンもやれる!』と本人もどこかで確信していたからではないでしょうか」
早い段階でのツアー3勝目を期待してしまいます。そしてビッグタイトル、メジャーも勝ってほしいですよね。
■服部 「メジャーというと、非常にタフなセッティングで、日本人にはなかなか手に届きそうで届かないイメージもありますが、特に畑岡選手は樋口久子プロ以来の日本人女子メジャー選手権大会優勝者にとても近い位置にいます。彼女のアグレッシブさとショットの技術の高さをもっていれば、メジャーで勝てる要素は十分あります。今シーズンからフロリダに拠点を置いているので、また気分的にも安心して試合に臨める状況にあると思います」
2月7日からオーストラリアで行われる第2戦「ISPSハンダ・ヴィック・オープン」にはプロ転向したばかりの山口すず夏選手も参戦し、プロゴルフアーとしてのキャリアをスタートさせます。
■服部 「ダイナミックなスイングが山口選手の持ち味ですよね。飛距離も出ますし。また、近くに畑岡選手という素晴らしいお手本もいますので、彼女にとっては大きなアドバンテージではないでしょうか。出場できる試合が限られているとはいえ、第2戦から推薦で3試合連続で出場できます。18歳と若いですし、適応能力も高いので思い切ったプレーで経験値を積んでほしいです。アメリカの芝よりはオーストラリアの方が日本の芝に近いですから、うまくアジャストできれば良い結果が期待できますね」
ほかの日本勢には上原彩子選手や横峯さくら選手、野村敏京選手もいます。
■服部 「きっと畑岡選手の存在がいい刺激になっていると思います。特に上原選手や横峯選手も飛距離もアップしていますし、忍耐力もありますから、ぜひ勝ってほしい。『勝ちたい!』と強く思っているふたりなので、得意な地域、コースで優勝を狙って行くと思います」
“絶対女王”のアリヤ・ジュタヌガーン選手は今シーズン、ズバリどうでしょう?
■服部 「開幕戦というのは、試合をしながら調整している選手と、試合に出場しないで自分のペースで調整している選手がいます。ですので、この試合だけで判断するのは難しいですが、彼女はショット力もショートゲームも際立っていて、持っているエンジンが違います。2番アイアンで他の選手のドライバーと同じくらい飛びますから。7、8割の力で優勝できてしまう実力がありますし。ただ、タイトルを総ナメしたビッグイヤーの翌シーズンは、目標を見失ってしまいがちなのでモチベーションを維持するのが大変だと思います。そんななかで彼女がどう戦うのか、注目です」
そんなトップ選手に挑んで行く日本人選手の熱いプレーも見られるLPGA女子ゴルフツアー、さらに盛り上がりそうですね。試合数も増えましたし。
■服部 「かなり面白いと思います。選手層が厚いですし。LPGA女子ゴルフツアーは群雄割拠の時代に突入しました。近年はクラブなどギアの進化によるパワーゲームの要素もありますが、決してそれだけでは勝てない高い技術を見ることができます。実に色々なタイプの選手がいるので、ゴルファーの方は参考になるのはもちろん、そうでない方も見ているだけでも楽しめるはずです。2月からの試合もぜひ、お楽しみいただければと思います」
(取材・文/高橋真之介)
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