「ISPSハンダ・オーストラリアン女子オープン」で今季2戦目を迎えるアリヤ・ジュタヌガーン(タイ)。WOWOWなどで解説を務める小田美岐は、出場選手が限られた1月の「ダイヤモンド・リゾーツ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」を踏まえ、昨季の年間女王を「今年も女王争いの中心」ときっぱりと言い切った。
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2019年の初戦では決勝ラウンドに大崩れ(2日連続の「75」)してしまいましたが、今年の年間女王争いの中心となるのはやはりアリヤだと思います。
ただ、去年から何度も言っているのですが、アリヤはドライバーを入れて上位にいけるようになるともっと強くなる。ですが、結局昨シーズンも何度もドライバーをバッグに入れては抜いてを繰り返していました。もちろん、アリヤの飛距離ならティショットがアイアンで、たとえセカンドオナーになったとしても、2打目のショットは短いクラブで打てるから戦略的には問題ないかもしれません。
しかし、普段からアイアンでフルショットをしていると、それがボディブローのように関節や手首の疲れ、さらにはケガにつながってきます。7、8割の力でもドライバーを打つことができればそういった問題は解消されます。力を抜いても、飛距離は十分にあるんですから。ただ、それをやりたくても何度も失敗してしまっているので厳しいんでしょうね。ドライバーで打ったときに、50ヤード先くらいから思い切り左に曲がっていくのも見ましたから。
それならば、いっそブラッシー(2番ウッド)なりを入れてみるのも手だと思います。でも、アリヤはそれもしないですし、最近はスプーン(3番ウッド)もあまり使わなくなりました。ティショットは圧倒的にアイアンが多い。アイアンだと飛ぶのはだいたい245ヤードくらい。それだと、米ツアーの他の選手のドライバーよりも飛びません。
もう一つドライバーやスプーンを入れたほうがいい理由があります。例えば、アマチュアゴルファーは5番アイアンを抜くと、今度は6番アイアンが難しく感じるようなところがあります。逆に昔を考えると3番アイアンから入っていたから、5番アイアンはすごく簡単なイメージがありました。今は当時よりもロフトが立ってきたのもありますが、5番アイアンが難しく感じる。そういうのはプロにもあって、アリヤの場合、ドライバーがダメだと思ってスプーンからにしたら、今度はスプーンが難しくなってきたんじゃないかと勝手に私は思っています。そうなるとつらくなるから、どこかのタイミングでドライバーだったり、スプーンを使っていかないとダメなのかなと。
ただ、米ツアーは日本ツアーほどメーカーのサポートが手厚くない。日本であればアリヤに合うドライバーをあの手この手でメーカーが用意するのでしょうが、米ツアーだとそこまでできない。結果、抜くという選択肢になったのだと思います。
ここまでネガティブな部分ばかりを話してきましたが、それでもアリヤが強いことには変わりありません。飛距離にばかり目が行きがちですが、アリヤは100ヤード以内がとても上手。アプローチにしても、パッティングにしてもトップレベルです。順当に行けばやはり今年も年間女王候補の筆頭になるのではないでしょうか。
小田美岐(おだ・みき)/1959年4月5日生まれ、京都府出身。国内ツアー通算6勝。ティーチングプロフェッショナル資格A級も保持している。現在は解説者として国内女子ツアーだけでなく、米国女子ツアーの解説を努めることも多い。
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