昨シーズン、「サマンサタバサレディース」で6年ぶりとなる優勝を挙げた有村智恵。米ツアー撤退後の苦しい時期を乗り越えて復活、有村智恵物語の第二章の幕開けとも言うべきシーズンとなった。一方で19年はプレーヤーズ委員(協会内の選手会とも言うべき組織)の委員長として、いち選手としてだけでなく、選手の代表としての手腕も問われることとなる。そんな注目の31歳に思いを語ってもらった。今回は委員長になってやりたいこと。
決勝Rで抜け出すのは誰だ? 開幕戦の撮れたてフォトギャラリー
−就任されてまださほど時間は経っていませんが、すでにお考えの企画などはありますか?
少しずつしか変えていけないので、すぐになにかというわけではないですが、まずは昨年から協会の方がやっているグッズ制作を、もっと選手が関与できないかということを考えています。
ファンの方がどうやったら喜んでもらえるかという部分で、これからは選手がアイデアを出したグッズを制作してみたらどうかなと思っています。開幕戦の前に行われた選手ミーティングで、選手たちにそういった提案をしてみました。選手個々からどういうアイデアが出るか分からないですが、そういった物でもファンサービスの拡大を少しでもしていけたらいいな、と思っています。
−男子ツアーでは石川遼選手会長発案の大会オリジナルピンフラッグが人気を博しました。そういったツアー全体的なものだけでなく、選手個人のものも展開していくイメージですか?
例えばデザインとかをできそうな選手もいそうな気がしていて。女子ツアーには結構多才な選手が多いので、そういった部分でも選手の個性を知ってもらえる機会にもなります。そして、選手もそうやって色々考えることで、『ファンの方がどういうものを望んでいるのか』など、ビジネス目線でも少し学ぶことが増えてくると思います。そういった両方の目的をもって選手にグッズアイデアを求めていけたらな、と思っています。
−今年男子ツアーでは新規ファン獲得へ「ゴルフFAN! プロジェクト」という企画を行うそうです。男子ツアーと組んで何かをやっていくというお考えは?
そうですね、話を聞いてみたいなと思います。私はJGTOのInstagramを『こういうのすごくいいなー。面白いなぁ』と思って、いつも見ています。
今の女子ツアーの選手たちも本当にみんなSNSの使い方が上手。それでファンの人たちも喜んでくださることも多いです。なので、SNSを使ってもっといろんな企画を選手提案でも協会の方々とかでも、いろいろやっていけたらな思っています。
−昨年、LPGAのInstagramが開設しましたが、もっと選手たちが絡んで発信するとさらに面白くなりそうです
はい、そうですね。結果を残している選手が、メディアなどに露出されるというのはどうしてもあるんですけど、女子ツアーにはゴルフ以外のところでもいろんな才能を持った選手が多いので、成績だけでなく本当にいろんな選手を知ってもらいたい。そういった個性を引き出すためにも例えば…、アメリカのツアーがやっているみたいに、成績以外の部分にスポットを当てた特集とかもやっていけたらなと。選手にもいろいろと協力してもらえたらな、と思っています。
−男子ツアーは日本ゴルフツアー機構という組織があって、その外部に選手会という組織があります。一緒に取り組んではいるものの、それぞれ別の組織でやっていますが、女子の場合は日本女子プロゴルフ協会のプレーヤーズ委員という組織がある。男子のように選手会を外部の組織にするというお考えはありますか?
うーん…(しばし沈黙)。すごく難しいですよね。分けるというか別の組織に分裂させるっていう形は、自分たちは全く望んでいません。協会の方々がプレーヤーズ委員会というものを作って下さっているので、その中でどう発展させていくかというほうが、今は現実的なのかなと思っています。
ただ、会員数はどんどん増えていて今は千人を超えている。でも、ツアーに出る選手は過半数を超えていない。そういった状況の中でどうやったらもっと様々な人の意見を聞ける場を作れるかが大事だと思います。
私たちはやっぱりツアーを戦う選手としての意見しか出せない。でも、それは偏っている意見になりがちなので、いろんな選手、いろんな会員の方々のいろんな目線をうまく取り入れる環境を、作れたらと感じています。そういった意味も込めて、協会の方々と私たちの関係性を少しずつ変えていきたいですね。
有村智恵(ありむら・ちえ)/1987年11月22日生まれ。熊本県熊本市出身・日本HP所属。東北高校卒業後の2006年にプロテスト合格。09年に年間5勝を挙げるなど、国内通算13勝を挙げる活躍を見せて12年に米ツアー参戦した。しかし、米国では苦戦を強いられ、本格参戦4年目の16年途中に国内ツアー復帰すると、18年の「サマンサタバサレディース」で6季ぶりの復活優勝。19年は選手としてだけでなくプレーヤーズ委員長としてツアーを牽引する。
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