<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 2日目◇23日◇茨木国際ゴルフ倶楽部(大阪府)◇6240ヤード・パー71>
この日、4アンダー・2位タイで並んだ上田桃子と小祝さくら。2人は同じ辻村明志コーチに師事する、いわば同門だ。オフには一緒に合宿を積んだ姉妹弟子が、優勝を目指した戦いに挑む。
上田桃子も満面の笑顔でフィニッシュ 2日目フォトギャラリー
2季ぶりの通算13勝目を狙う“姉弟子”の上田は、「改めて難しいと感じた」というコースで2つ伸ばしフィニッシュ。ディポットに5回ハマるという不運が続いたが、それも乗り越えて優勝争いに名乗りを挙げた。「ここは1ホールで、大きく叩く可能性もあるので、かえって周りを気にせずに集中できます」と明日も自分の世界に没頭する。
一方、初優勝がかかる“妹弟子”の小祝は、「68」と3つ伸ばしてラウンドを終えた。「前半は短いパットをけっこう外していました」と、完璧なラウンドとはいかなかったが、終盤の16、17番で連続バーディ。後半ノーボギーと勢いそのままに明日に向かえる。「最終日は自分のプレーをしっかりとしたい」。こちらも自分との勝負に集中する。
この状況に複雑な思いを抱くのが、2人を指導する辻村コーチだ。「コーチになった時から、いずれこういう状況になることは覚悟していた」というが、弟子2人が優勝を奪い合う状況に“うれしい悲鳴”。同じ4アンダーで並ぶS・ランクン(タイ)が最終組となり、上田が1組前のスタートとなったことで“直接対決”こそ無くなったが、“2人とも勝って欲しい”というのが本音だろう。
自身が辻村一門の“キャプテン”にも指名した上田については、「(コーチに就いた)2014年から一番充実したオフが過ごせた。特に心技体の心が充実し、大きく成長した。でも、彼女の心の成長はまだまだ70点です(笑)」と、今季ここまで好調を維持する要因について冗談も交えつつ語る。そして、今大会でキャディとしてもサポートしている小祝については「本当にしっかりとガマンしてくれた。もちろんチャンスはある」と、2日間のプレーを評価した。
もちろん2人だけの戦い、というわけではない。1つ上の順位には百戦錬磨の申ジエ(韓国)がいる。その状況のなか辻村氏は、2人をこんな指導とともにコースに送り出す。「ジエ選手はミスしないものだと思って戦わせる。2人は必ずミスはするし、ミスの数では絶対に負ける。それでも食らいついて、ゲームを作ってくれるはず」。その言葉に自然と力がこもる。
最後にカップを掲げるのはただ1人。3人のドラマは、どのような結末を迎えるのだろうか。(文・間宮輝憲)
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