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マスターズ“出場”は次のステージへの通過点【金谷拓実 マスターズへの道】

4月11日（木）に開幕する海外メジャー「マスターズ」。今年は4人の日本人選手が出場するが、そのうちのひとりにアマチュア選手として名を連ねたのが、東北福祉大の金谷拓実だ。
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2018年10月の「アジア・パシフィックアマチュア選手権」での優勝で、19年のマスターズ、「全英オープン」への出場権を獲得。同大会を日本人選手が制するのは、松山英樹以来7年ぶりの快挙となった。“アジア最強”、“第二の松山”として、今やプロに並んで注目の的。しかし、コースを出れば気取らない大学3年生の顔をのぞかせる。
2月に東北福祉大を訪れると、大学は春休みまっ最中。キャンパスから少し離れたゴルフ部の寮をのぞくと、朝のショット練習を終えてキャディバッグを車からおろす金谷の姿があった。オフシーズンの間は、大学敷地内に完備された練習場や近所の練習場へ通ってショット練習を欠かさない。
「大きい試合が終わったあとは“やらなくてもいいか”って思うこともありますよね。でもやっぱり、基本は毎日やります」
寮の部屋を見れば、至るところにストイックさがうかがえる。壁に貼られているのは、『今日1日を終えた時に、どのような成果を手に入れることができたら最も価値があるか？』。プロ野球・横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手の言葉だ。その問いかけに応えるように、その日行った練習メニュー、感じたことや心に残った言葉を毎日ノートに書きためている。
「中学生から始めました。高校の時のノートを見返したりするのは好き。こういうことを考えてやっていたなと」
反対側の壁には、さらに大きな紙が貼ってある。『マスターズローアマチュア』へのロードマップだ。9×9のマス目に分かれた表には、目標達成のために必要な要素が細かく書き込まれている。
「マスターズに出る、と思い始めたのは、中学生でプロになりたいと思い始めた頃からだと思います。何歳までとは全然考えていなかったけど、ノートには2025年のマスターズが終わるまでの日数が書いてあるんです。たぶん（笑）」
緻密さを持ち合わせる一方、感覚派な一面も持っている。一番意外だったのが、クラブに関する考え方だ。男子プレーヤーなら微調整を重ね、クラブの細部までこだわり抜く選手が多い。プレーヤー同士でクラブ談義に花を咲かせることもあるだろう。
「みんな詳しいですよね、すごいなと思って。他の部員は自分で色々いじったりしている人もいるんですけど、僕は全然。角度とかも全然わからないし、クラブの話で盛り上がるなんて、考えられないです（笑）」
クラブの調整は、打った感覚を伝えてメーカーに調整してもらうことがほとんど。自分が行ったことに対してどういう結果がついてきて、何を得られたかを最も大事にしている。
「今回のマスターズでどういう経験値を積むかも、自分のプレー次第だと思っています。うまくなっているという自信を持てるかどうか、いいプレーができるかどうかがかかっている。予選に落ちて、自分のプレーを出し切れずに終わってしまって『いい経験でした』という曖昧なもので終わらせたくない」
たとえ結果が出せなかったとしても、とにかく自分の力を出し切ること。本人にとっては、マスターズさえも“試合のひとつ”。
「周りの方がすごいといってくれるけど、自分にとってはいざ出場が決まってみると『ただいつもより大きな試合がある』という感覚です。今の自分にとっては、ここで結果を出したら、また違うものが見えてくるのかなという期待があります」
プロゴルファー・金谷拓実として世界を舞台に成功するために、今はまだ道の途中。このマスターズ出場は、「最も価値がある」成果を求めていく中での通過点だ 。

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