<中日クラウンズ 最終日◇5日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
「入れ、入れ!」、「いいぞ!」。18ホールの至るところで、絶えず歓声が響いていた。会場に入って感じたのが、ほかよりも強い観客たちの熱気。例年多くの動員数を誇る「中日クラウンズ」は、今年も大会4日間で3万人近くの人が集まった。
コースにみっちり広がる観客の数!【写真】
名古屋市内から車で20分ほどというアクセスの良さに加えて、連休と重なる日程もある。しかし、ただ人が多いだけではない“ゴルフ熱”の高さを感じた。テレビの視聴率も、関東・中部・関西を比較すると例年中部が高い。ここ10年の男女ツアー最終日の数字を追えば、ほぼ全て中部が一番だ。今年の和合でも、特定の組だけでなく様々な組に観客がつき、一番ティで見送るのではなく、選手について歩く姿が多く見られた。選手が上がってくれば、サインを求めてファンが殺到。クラブハウス回りには、常に観客が列を作って待っていた。
「名古屋はギャラリーが多いね。長い歴史があるから、お客さんも若い人は少ないけれど、ずっと応援してくれている人がたくさんいる」と語ったのは、今年で33回目の出場となった芹澤信雄。主催者推薦での出場ながら、連日シード選手をはるかに上回る数のファンからサインを求められていた。今年で60回目を迎えた中日クラウンズ。かつては故アーノルド・パーマーやジャック・ニクラス(ともに米国)など海外の名手も出場するなど、“東洋のマスターズ”と称された。長い歴史を刻んできた大会とあれば、それを見守ってきた観客も年季が入る。根強いファンが特に熱狂するのは、ひと時代を築いてきたベテランたちにだ。
やはり中でも大ギャラリーを引き連れていたのが、ジャンボこと尾崎将司。日本ツアー94勝のレジェンドは、1997年には当時世界ランキング1位のグレッグ・ノーマン(オーストラリア)に競り勝って大会3連覇を達成するなど、数々の金字塔を打ち立ててきた。
初日には、ジャンボのティオフ前に名誉スターターとして青木功が登場。AOコンビの姿に、ギャラリースタンドからの拍手は鳴り止まなかった。「ジャンボさんは別格で、雲の上の人。AONはレジェンドですし、あの人達が引っ張ってくれているから僕たちも人気が出た」(芹澤)と語る。
今年で72歳。体の不調もあり、ツアーに出場しても棄権や予選落ちが続いている。それでも70を超えているとは思えぬショット、見事なアプーロチ技術で和合のファンを沸かせるのは、レジェンドたるゆえんだろう。今年で出場は49度目、ほぼ毎年和合に登場している。大歓声を受けてティグラウンドに立つ姿は、“スターはこうあれ”と若手に見せつけているようだった。(文・谷口愛純)
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